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日本代表DF板倉滉が21億円移籍アヤックスは「PSGに肉薄の名門」上田綺世・渡辺剛フェイエや三笘薫ブライトンも…欧州サッカー補強事情ウラ側
posted2025/08/09 17:00
名門アヤックスへの移籍が決まった板倉滉と、フェイエノールト所属の上田綺世。レーティング的にはオランダの名門は“過小評価”されている
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ジェームズ・ティペットJames Tippett
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Naoki Morita/AFLO
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移籍候補2500人のうち99%は検討する余地なし
正確な統計指標があれば、クラブは的確なチーム編成ができる。これは最適な選手を獲得するだけでなく、チームにふさわしくない大多数をふるいにかけることを意味する。事実、2500人の候補のうち、99%は検討する価値すらない。監督の要求を満たさない、チームのシステムにスムーズに適応できない、あるいはその他諸々の理由で補強にふさわしくないからだ。
しかもデータは、生身のスカウトから構成されるネットワークよりも幅広いエリアを対象に獲得候補をリストアップし、瞬時に適性を評価するため、クラブ側は時間とリソースを節約できる。
多くの場合、選手獲得プロセスは監督から始まる傾向が強い。これはフットボール・ディレクターや強化部門の責任者などを設け、合理的な決定を行うチームでも同様だ。まず監督が、戦力に加えたい選手のイメージを詳細に伝える。それを受けて分析担当者が膨大な候補者の中から「干し草」をできる限り取り除き、「針」を見つけ出していく。ちなみに監督がリクエストを行う際には、重要な項目を列記したチェックリストも添えるのが一般的だ。
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その選手は精度の高いパスを供給できるか? 90分間でいかにxG(ゴール期待値)を生み出すか? 1試合でどれだけの距離をカバーできるのか? といった具合である。
移籍決定プロセスの“ウラ側”
データアナリストが監督の希望条件をソフトウェアに入力すると(例:1試合あたり14km以上走る、パス成功率85%以上、90分単位で0.40以上のxGを記録するなど)、まず膨大な獲得候補のリストがぐっと絞り込まれる。同じプロセスは条件を厳しくしながら何度も繰り返され、最終的にはすべての条件を満たす選手がわずか数人だけ残る。
