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日本代表DF板倉滉が21億円移籍アヤックスは「PSGに肉薄の名門」上田綺世・渡辺剛フェイエや三笘薫ブライトンも…欧州サッカー補強事情ウラ側 

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ジェームズ・ティペット

ジェームズ・ティペットJames Tippett

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posted2025/08/09 17:00

日本代表DF板倉滉が21億円移籍アヤックスは「PSGに肉薄の名門」上田綺世・渡辺剛フェイエや三笘薫ブライトンも…欧州サッカー補強事情ウラ側<Number Web> photograph by Naoki Morita/AFLO

名門アヤックスへの移籍が決まった板倉滉と、フェイエノールト所属の上田綺世。レーティング的にはオランダの名門は“過小評価”されている

 干し草に混じっていた「針」が特定されると、スカウトチームは個々の獲得候補について、できるだけ多くの情報を収集する。過去の故障歴、給与条件、私生活、さらには性格に至るまであらゆる情報が集められ、契約に進むべきかが判断されていく。この段階では数百時間分の試合映像が精査され、ストロングポイントとウィークポイントをまとめたレポートも作成される。内容は監督、フットボール・ディレクター、移籍委員会、その他の関係者に共有され、最終候補が決定。契約に向けた交渉が開始される。

 選手の補強では、地域的な要因も影響を与える。移籍市場は経済市場などと同様に、需要と供給の法則に左右される。これは同じスマートフォンでも人気機種が品薄になったり、梅雨に傘の値段が高くなったりするのに似ている。特定のリーグへの関心が高まれば、全体の相場も当然のように上昇する。

南野らが所属…フランスは“高めの移籍金”に

 リーグ・アンは典型例だ。フランスのトップリーグは、他国のトップディビジョンでも十分に通用する選手を輩出することで知られてきた。

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(※追記:モナコにはMF南野拓実が所属し、2024-25シーズンのスタッド・ランスにはMF伊東純也、MF中村敬斗、DF関根大輝の日本代表クラスが所属した)

 しかも最近は人材の宝庫として注目され、各国から多くスカウトが訪れるようになったため、移籍金の相場は上がりつつある。とりわけ、プレミアリーグのクラブは、他のリーグ出身で似たような能力を持つ選手に比べて、15~20%高い移籍金を支払う傾向があるとされる。

 真に効率的な補強をしようとするなら、やはり人とは違った市場に目を向けた方がいい。xGの分析モデルは、大きなポテンシャルを持ちながら、それほどマークされていない選手を特定するのに役立つ。『ファイブサーティエイト』では、xGのデータに基づいて世界中のサッカークラブをランキングしている。結果、ヨーロッパのすべてのプロクラブ(およびその他の多くのクラブ)の実力を、一つの巨大なリーグに集約させたように把握できる。

板倉アヤックス、上田・渡辺フェイエの“格付け”とは

 図を見てほしい(※外部配信サイトの方は関連記事からご覧になれます)。これはリーグ・アンとエールディビジのクラブを対象としたレーティング(格付け)で、最高は100点に設定されている。

 各クラブのランキングは、リーグ内の実力に応じてドットで表されており、パリ・サンジェルマンがやはりリーグ・アンの一番左(トップ)となる。

 執筆時点では、パリ・サンジェルマンのレーティングは82.6、一方、エールディビジで頂点に立つアヤックス(※2025年8月8日、DF板倉滉の加入が最大約21億円の移籍金で決定した。リーグ優勝36回、欧州CL優勝4回の実績を持つ名門クラブで、日本人選手の所属は初となる)は80.0で、パリ・サンジェルマンに肉薄している。

【次ページ】 三笘ブライトンは“買い物上手”だった

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