炎の一筆入魂BACK NUMBER

前半戦5位は「9月の悪夢」の再来ではない…チーム打率も本塁打も得点も昨季を上回るカープが巻き返しに向け克服すべき課題とは 

text by

前原淳

前原淳Jun Maehara

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2025/07/22 17:02

前半戦5位は「9月の悪夢」の再来ではない…チーム打率も本塁打も得点も昨季を上回るカープが巻き返しに向け克服すべき課題とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS

前半戦は歯がゆい戦いを強いられた新井監督(左)と、チーム最多の7勝を挙げた床田

 昨季前半戦終了の84試合消化時点と今季の84試合を消化した7月16日時点で比較しても、チーム打率は.229から大きく上がり、本塁打数は34から38へ、得点は234から250へとわずかながら増えている。

 16日のDeNA戦で60日ぶりの来日2号を放ったエレフリス・モンテロが翌日には来日初の2試合連続ホームランを放つなど、期待された大砲の兆しも見えてきた。攻撃陣の後半戦の鍵は「先制点」だ。広島が前半戦で先制した試合は、わずか34試合(リーグ5位)にとどまった。上位にいる4球団はすべて40試合以上あり、首位阪神に至っては57試合と圧倒的に多く、チームの勢いに直結している。広島が失速した7月は、21日までの18試合中14試合で先制点を奪われる展開だった。

 得点パターンを探るためにも1番打者の出塁率が大事になる。1番には前半戦だけで11選手を起用しながら、打順別出塁率ではセ6球団中最下位の.279。前半戦はチーム最多の31試合で1番に起用された中村奨成も7月17日に戦列を離れ、打線の再構築は急務となっている。

ADVERTISEMENT

 一方、先制点を取れなかったことで逆転勝利はリーグ最多16度を数えるなど、粘りは見せている。接戦をものにできた理由は投手陣の貢献が大きい。

チームの順位を左右する防御率

 昨季前半戦のチーム防御率2.16は出来過ぎと言えたが、今季も2.87をマークする。ただ、後半戦はもうひと踏ん張りが求められる。セ・リーグの順位はチーム防御率の数字が順位に大きく反映されている。

 中継ぎでは栗林良吏の不調、セットアッパーのテイラー・ハーンの不安定さはあったものの、防御率1点台トリオの森浦大輔と島内颯太郎、中崎翔太が勝ちパターンに食い込み、選択肢は増している。

 先発では森下暢仁、床田寛樹、大瀬良大地の先発3本柱で6つの借金を抱える現状が歯がゆい。だが、3投手とも防御率は2点台と安定している。後半戦はこの3人の登板試合をいかに勝ち切れるかがカギとなる。

 前半戦の最後のカードは最下位ヤクルトに3連敗で終えた。しかも2戦連続逆転負けと流れは悪いままだった。オールスターブレイクを挟み、26日から後半戦が始まる。その先には、昨季急失速した9月戦線も待ち構える。優勝に手が届きそうだったところから一気に目標を見失ったが、今季は阪神に独走を許しているとはいえ、3位とは2.5ゲーム差、2位とも3ゲーム差とクライマックスシリーズ出場圏内を十分に狙える位置にいる。順位を上げるためにも、チーム力を上げていくためにも、目の前の一戦を全力で戦い抜く姿勢が求められる。

関連記事

BACK 1 2
#広島東洋カープ
#新井貴浩
#坂倉将吾
#小園海斗
#秋山翔吾
#菊池涼介
#佐々木泰
#エレフリス・モンテロ
#森浦大輔
#島内颯太郎
#中崎翔太
#森下暢仁
#床田寛樹
#大瀬良大地

プロ野球の前後の記事

ページトップ