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阪神ファンなら覚えておくべき「バースの再来」が100%期待外れに終わる理由「甲子園の浜風に苦しむ」「アリアスもマートンも…成功例は右打者」
posted2025/07/22 17:01
阪神伝説の外国人助っ人バースだが……なぜ「バースの再来」はたびたび話題になってしまうのか
text by

江本孟紀Takenori Emoto
photograph by
JIJI PRESS
「バースの再来」が100%外れる原因とは
阪神の外国人選手、とりわけ左打者を獲得した際によくいわれるたとえとして、「バースの再来」というものがある。
シーズンが終わり、オフの11~12月になって獲得した左打者の外国人選手は、「バースのような活躍ができるのではないか」という期待を抱かせることが多い。そして、2月の春季キャンプ初日からパカパカ気持ちよさそうに打って、フェンスオーバーの打球を連発しようものなら、「バースの再来」といわれるようになるのである。
これは新聞を売りたいがための、あるいは視聴率を上げたいがための、マスコミの戦略のひとつだと考えられたらいいが、多くの、というより、ほぼ全員といっていい阪神ファンは真に受けている。
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「バースの再来なら、今年は期待できそうやな!」
「今年はクリーンアップでバカスカ打って、優勝間違いなしや!」
などと気勢を上げるものの、いざシーズンに入るとクルックルッとバットが空を切り、あるいは凡打の山を築いて打率、本塁打、打点のいずれもが低空飛行のままでいる。「いつになったら調子が上がってくるんだ」と思ったころにはシーズン中盤が過ぎ、どうやら期待外れに終わるんじゃないか。そんな失望感が現実となる――という具合だ。
バース、バースと言い続けるのは情けない
外国人選手の左打者を獲得するたびに「バースの再来」と呼ぶのはもうそろそろやめにすべきじゃないかと思っている。それをいわれた外国人選手にプレッシャーがかかるからという理由ではない。
そもそもバースのことを生で見た外国人選手は存在しないだろうし、「オレはオレだ」という気概を持って、はるか遠くの日本まではるばるプレーしにきてくれている外国人選手に失礼すぎるからだ。
それに、いつまでもバース、バースと呪文のように言い続けているのは、なんだか昔おつきあいしていて別れた彼女のことを未練がましく思い浮かべているようで、そんなものは情けないと思えるようにならなければならない。


