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前半戦5位は「9月の悪夢」の再来ではない…チーム打率も本塁打も得点も昨季を上回るカープが巻き返しに向け克服すべき課題とは

posted2025/07/22 17:02

 
前半戦5位は「9月の悪夢」の再来ではない…チーム打率も本塁打も得点も昨季を上回るカープが巻き返しに向け克服すべき課題とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS

前半戦は歯がゆい戦いを強いられた新井監督(左)と、チーム最多の7勝を挙げた床田

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 プロ野球は前半戦が終了。オールスター後の再開に向けて、今一度自分たちの立ち位置を再確認するときだ。ペナントレースを折り返したと言っても、シーズンは3分の2近くを消化している。広島は前半戦を38勝45敗5分けの5位で終えた。

 首位阪神に3.5ゲーム差の2位で迎えた7月戦線で失速した。10日までの阪神3連戦で3連敗を喫し、今季最長タイの7連敗と悪い流れが続いた。阪神の独走に待ったをかけたかったオールスター前最後の直接対決では、逆に突き放された。敗戦直後、チーム関係者は敗戦を受け入れるように、阪神の強さをこう表現した。

「3連覇していた頃のうちみたいだ」

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 力の差を認めざるを得なかった3連敗だった。阪神は投打ともに充実の戦力を誇る。2023年には日本一となり、経験値では一歩も二歩も先を行く。今や主軸であり、チームの顔でもある佐藤輝明、森下翔太は、それぞれ広島の坂倉将吾、小園海斗と同学年。広島のふたりは個々で奮闘しながらも、主軸としての存在感では見劣りする感は否めない。

 阪神の場合、佐藤と森下を近本光司や大山悠輔といった上の世代が支えているのに対し、広島には坂倉と小園を支える経験ある主力がいない。ベテラン秋山翔吾や菊池涼介が出場機会を減らしているのが現状だ。阪神でいう近本・大山世代の鈴木誠也(現カブス)は21年オフ、西川龍馬(現オリックス)は23年オフに移籍した。

 相次いだ主力流出がチームに影を落とす。新戦力も出てきていない。新井貴浩監督体制で初めて臨んだ22年ドラフト以降で、一軍に定着している選手がいない。昨年のドラフト1位、佐々木泰も負傷で戦列を離れている。戦力としては未知数ではあるが、変化を求めた今季を象徴する存在と期待されただけに、ひとつの誤算だった。結果、一塁以外の内野ポジションは固定できていない。

前半戦だけで70パターンのオーダー

 ベテラン不在かつ、我慢してでも起用すべき若手もおらず、開幕から日替わりのオーダーを余儀なくされている。新井監督も打線の固定を理想としながらも、前半戦88試合で70パターンのオーダーを組んできたように苦悩がうかがえる。

 7月の連敗中には、昨季から続く「得点力不足」が再びクローズアップされた。ただ、今季前半戦終了時点の、総得点数265点はリーグ2位で、チーム打率.242、長打率.335はいずれもリーグ3位と見劣りするものではない。「チャンスであと1本出ない」と言われているが、チーム得点圏打率はDeNAのリーグトップ.255に次ぐ.253を残している。

【次ページ】 チームの順位を左右する防御率

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