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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「今の代表は全員が本田圭佑さんみたいな集団」浅野拓磨が見る“世界との距離”は縮まったか「でも、やりますよ。次のW杯も行くつもりです」
text by

戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2025/06/11 17:01
前回カタールW杯では特大のインパクトを残した浅野拓磨は日本代表の現状をどう見ているのか
海外の選手っていうのは、子どもの頃から足を引っ掛けられたらPKをもらう意識でプレーしているんですよ。日本で言う保育園、幼稚園、小学校の年代から。それをやったらほめられる環境です。
でも、僕らはそういう学びをしてきていない。それをやったら、コーチがほめてくれるかというと……。
——わざと倒れないように、と言われることが圧倒的に多いでしょうね。
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そうすると、それはできなくなるんですよね。ヨーロッパでプレーしていると、「なんでお前、こけないんだ」ってよく言われるんですよ。「足引っ掛けられてこけたらPKだ、そのPKのゴールでチームが勝てるなら、なんでお前はこけない」って。
僕はそんな意識がないから、足を引っ掛けられても耐えちゃうんですよ。子どもの頃にそういうところまで意識してプレーできていたか、監督やコーチがPKをもらったら褒めていたのかが、いまの僕に影響しているんですよね。
無意識に倒れることができたら、たぶんいままでのキャリアで10点以上は変わっていると思うので。じゃあ、その10点でチームがどれだけ救われているかを考えれば、ワールドカップ優勝にもつながるんじゃないかなと。
日本が追いつけていない部分とは
——そこはもう国としての教育方針とか、日本人の価値観とか美徳みたいなところにも関わってきます。
いまお話ししたのは一例でしかないんですけど、そういうことが90分プラスアルファの試合のなかで、どれだけあるかっていうことです。そこはまだまだ、日本が海外に追いつけていないところかな、と。
——ドメスティックではなくインターナショナルな勝負に挑むにあたっての、根本的な心構えの違いとでも言うべきでしょうか……。
勝利がすべてだと、当たり前のように思えるかどうか、みたいなところですよね。日本ではみんなで頑張ることが優先されます。みんなで頑張るためには、できる人ができない人に合わせていくので、優しい気持ちが生まれますよね。
日本の文化ではそういう協調性とか一体感が良しとされるけど、海外ではできる人はどんどんやっていく。できない人に合わせない。


