「授業後ラモスらと紅白戦」15歳でプロ、40年前の天才高校生・菊原志郎が“最強”読売クラブで過ごした青春時代「しかも…中央大に現役合格する秀才」 

「日本代表に選ばれたのはうれしかったですね。君が代を聞き、ゲームに入るのは感慨深かった。（カズ、福田正博、柱谷哲二ら）良いメンバーがそろっていたので、サッカーも面白くて。背番号10をつけさせてもらう試合もあったんです。そのときはラモスさんが14番をつけていたので、たぶんですけど、『志郎に10番をつけさせてやってくれ』と当時の横山謙三監督に言ってくれたんじゃないのかな」

　読売クラブでは90-91、91-92シーズンと日本リーグ連覇に貢献。ブラジル人監督のもと、イメージを共有できるチームメイトにも恵まれた。カズ、ラモス、武田修宏らとは感性が合い、頭で思い描くプレーを自由に表現できた。ヴェルディ川崎に名称変更する直前の読売クラブ時代を思い返すと、自然と笑みがこぼれる。

「あの頃は楽しくて仕方なかった。お互いに求めていることが分かるし、動き方も分かる。流れるようなサッカーができました。ピッチでは何でもできましたから」

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　ひと際輝きを放っていた小柄なテクニシャンは『日本の将来を担う存在』と報じられるようになっていたが、本人はまったく気に留めていなかった。

「正直、自分の未来像を描いたことはなくて……。それよりも毎日、いいプレーがしたい、いいゲームがしたい、そればかり考えていましたね」

　Jリーグ開幕の1年前までは、古き良き読売クラブの自由な風が吹いていた。23歳の菊原は、ここから時代が急激に変化していくことを想像もしていなかった。

〈つづき→第3回〉

#3に続く

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