- #1
- #2
熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ブラジル人記者の中国戦採点…最高は久保建英と小川航基の7.5「トミヤス、イトウが戻っても」“隠れた高評価”や唯一低調の5点、森保采配は?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byVCG/AFLO
posted2024/11/21 17:04
インドネシア戦に続き中国戦でも殊勲の働きを見せた小川l航基。ブラジル人記者は久保建英とともに高い採点を記した
「批判に対して何ら反論せず、黙々と仕事を続け、文句の付けようのない結果を出して批判を封じ込めた。プロの指導者として、見事だ。前編でも触れた通り、控え目な人柄でも容赦ない交代策も仕掛けてくるからね(笑)」
ブラジルでも「日本の強さはセンセーショナルだ」と
――今予選が始まる前、あなたは「アジアからのW杯出場枠が前大会の4.5(開催国カタールを除く)から8.5へ激増したのは、日本にとって非常に危険だ。これまでより楽に予選を突破できる可能性が高いが、そのことが気の緩みを招き、チーム強化の上でマイナスとなりかねない」と危惧していました。
「ここまでのところ、僕の心配は全くの杞憂だったね。まるで出場枠が増えたのを知らないかのように、あるいは出場枠が減ったと勘違いしているかのように、対戦相手がどこであろうとすべての試合に真剣に向き合い、10月のホームでのオーストラリア戦(1-1で引き分け)以外は相手を叩きのめしている。ただ勝つだけでなく、爆発的な攻撃力を発揮し、ほとんど失点もせず、大差で勝っているのが素晴らしい。今予選のみならず、過去のアジア予選でもそんな国はなかった」
――これで日本は5勝1分、得点が22で失点2(1試合平均の得点が3.7で失点が0.3)。勝ち点が16で、2位オーストラリアが勝ち点7、他の4カ国が勝ち点6で並ぶ。残り4試合で、3位との勝ち点差が10。次の試合は来年3月20日のホームでのバーレーン戦で、勝てば2位以内とW杯出場が確定し、引き分けでも他の試合結果次第でW杯出場が決まります。
「中国戦を中継したブラジルのテレビも『日本の強さはセンセーショナルだ。2026年W杯出場権を獲得する世界最初の国となるのは間違いない』と断言していた。
ブラジルだけでなく、世界各国で日本の強さは大きな注目を集めている。それだけに、W杯では対戦相手から強豪国としてマークされるはず。厳重な警戒網を潜り抜けなければ、好成績を残すことはできない。日本の立ち位置が、これまでとは全く異なっている」
本気でW杯優勝を目指すなら、やるべきことは多いよ
――当面、今予選の残り4試合をどう戦うべきでしょうか?
「他人が何と言おうと、現実にはまだW杯出場を決めたわけではない。まず、来年3月、バーレーンをしっかり叩いてW杯出場を決めること。そして、その後の3試合でもチームとしてのスタイルを継続しながら、多くの選手を試してさらなる新戦力を発掘し、チーム力を高めてもらいたい」
――上には上がある。欧州や南米には、アジアとは全く異なる特徴を有し、別次元の実力を備えた強豪が目白押しです。
「日本が本気でW杯優勝を目指すのであれば、選手一人ひとりがさらに長所を伸ばし、イージーなミスを減らし、精神的にもさらに逞しくならなければならない。やるべきことは、まだまだ多いよ」
◇ ◇ ◇
仮にアジアでは無敵であろうと、世界は広い。日本の前には、まだまだ長くて険しい道が続いている。それでも、愛するサムライブルーの今後の歩みをつぶさに見届けることができる我々は、非常に幸福な立場にいる。そのことを、決して忘れるべきではないだろう。
〈日本代表特集:つづく〉