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「あの身長2m天才セッターとニコッ」石川祐希“待望CLデビュー”顔面直撃ハプニングも…常勝軍団ペルージャに馴染んだ3カ月
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byTakashi Yuge
posted2024/11/16 17:01
チャピオンズリーグデビューを飾った石川祐希(28歳)
開幕戦でペルージャは優勝候補としての強さを見せつけた。9月22日のイタリアスーペル杯優勝からリーグ戦での7連勝を加えると、公式戦9連勝になる。
イタリアでプロキャリアをスタートさせた石川は、“開幕から公式戦全勝”という初めての経験をどう捉えているのか。試合後の声はいつも以上に快活に聞こえた。
「ここは負けないチーム、負けられないチームだと思います。プレッシャーに感じることはたまにありますけど、それも滅多にない良い機会ですし。こういった環境に身を置くことは新しい経験として自分にプラスになっていく。こういう(常勝を義務付けられた)経験に今はまだ慣れてないですが、それが日常となるようなチームにいたいですし、そこで結果を残す選手でありたいと思います」
3日前のセリエA第7節ターラント戦で石川はスタメンを外れ、ほとんど出番がなかった。しかし、強豪ルーベとの大一番だった第6節では、途中投入されると得点力を爆発させ、ゲームMVPに選出される大活躍を見せた。
チームのアウトサイドヒッター起用は、チェスケ戦MVPのプロトニツキとセメニウクを交えた3人ローテーション体制が続く。
「彼ら2人は去年からずっとやってきているので(先発争いが不利でも)そこは仕方ない。ただ、前節(ルーベ戦)のように相手が強豪でどちらかの調子が悪いとなれば、すぐに出るチャンスはもらえます。ルーベ戦でも途中から入ってしっかり勝ちきれたし、そういうところを監督はしっかり評価してくれる。僕は入ったときにベストを尽くしてチームの勝利につなげたい」
過酷な連戦、大塚との日本人対決も
痛めている腰のせいで下半身のトレーニングが不十分なのはやや気がかりだ。チェスケ戦では誰よりサーブで狙われた。レセプションで組む選手とのコンマ数秒のコミュニケーションが出場機会を左右する。
石川は最強クラブの微細で苛烈な世界にいる。ただ、彼は純粋に一人のバレーボーラーとして、今の境地を心底楽しんでいるようにも見えるのだ。
CL開幕にともない、ペルージャと石川はいよいよ晩秋の連戦に突入した。
16日(土)のセリエA第8節グロッタッゾリーナ戦の後、中2日の19日(火)にCL第2節のフランス遠征、そして週末の24日(日)には古巣ミラノに乗り込み、大塚達宣との“日本人ダービー”が控えている。
ペルージャ入りから約3カ月が過ぎた。今、石川祐希は常勝軍団の一員として、静かな闘争心を沸々と滾らせている。