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4月1日のプロポーズ「嘘じゃないよね?」藤井直伸&佐藤美弥《バレー代表セッター同士の仲良し夫婦》が幸せを感じる意外な瞬間
posted2021/11/22 06:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Naonobu&Miya Fujii
同時刻に、2人揃ってそれぞれがインスタグラムに綴った短い文面と、3つの指輪が重なる写真から、幸せがにじみ出ていた。
『人として、アスリートとして尊敬する彼とともに明るく笑顔の溢れる家庭を築いていけるよう精進してまいります』(Instagramより抜粋)
最後に添えた“藤井美弥”の文字も、何とも初々しい。
男子バレー日本代表で東京五輪に出場、今季は東レアローズで主将を務める藤井直伸と、女子バレー日本代表として2019年のワールドカップに出場、東京五輪を目指すも今年5月に引退を表明した佐藤美弥さんが9月26日に結婚を発表した。
31歳と29歳、美弥さんが2歳上で共にポジションはセッター。同志でもあった2人の新生活がスタートして、間もなく2カ月。引退して初めて外から見る新たなシーズンを迎えた美弥さんは、夫が出場する試合は「自分の試合よりも緊張する」と笑う。
「藤井さんの試合を見るのは楽しいけど、でもそれ以上にドキドキするし、手汗が止まらないんです(笑)」
“みーちゃん”と“なーくん”どこに惹かれた?
互いに“みーちゃん”と“なーくん”と呼び合う2人の出会いは19年。当初から競技の話や、セッターとしてそれぞれが抱える悩みや迷いを打ち明けいくうちに、ごく自然に距離が縮まり、ワールドカップが終わった11月から交際がスタートした。
「セッターって、弱いところを見せたくないし、他のポジションとは少し違う。周りからは理解しがたい孤独なポジションでもあるんです。(夫のことを)最初はコートでプレーする姿しか見たことがなかったので、いつもワーワー騒ぎながら楽しそうにバレーをする、自分に自信がある人だと思っていました。でも、年齢的にも上のほうになって、やらなければいけないことがあるのにうまくいかないと悩んでいる姿や、真面目に一生懸命努力する姿が、人間味に溢れた人だな、と。自分と似ているけれど、表面的には明るい彼と正反対のところもある。そういうところに惹かれました」
負けた時の悔しさや、勝利の喜び。いい時、悪い時も、セッターとしての難しさや楽しさも分かち合えるパートナーで、何でも話せる存在。まさに理想的な関係に思えるが、目指す場所が同じであるがゆえ、2人に生じた決定的な“違い”を、ある時期の美弥さんはなかなか受け入れることができずに苦しんだ。