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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「朝が来るのが怖かった」西田有志が苦しんだ“謎の症状”「もし大きな病気だったら、結婚もやめようと」不安な夜を支えた妻・古賀紗理那の存在
posted2023/04/21 11:03
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuki Suenaga
多くを語ってこなかった病状と、その時間を支えてくれた妻への感謝をNumberWebのインタビューで明かした。他界した藤井直伸への思いも背負うレフティーの覚悟を全2回にわたってお届けする。【全2回の1回目/#2へ】
左手には金の結婚指輪が光る。長かったVリーグを終え、日本代表合宿が始まるまでの束の間の休息。最近凝っているという料理の話に花を咲かす。
「最近は健康料理をつくってて。豆腐と豚肉を炒めたり、鶏肉を低温調理したり。ウマい、ってなかなか好評ですよ」
昨年12月31日、西田有志は古賀紗理那との結婚を発表した。日本代表で活躍する2人の結婚は明るい話題として取り上げられ、自身も嬉しそうに隠すことなく新婚生活を語る。家族も増えて、順風満帆のシーズン――と思いきや、今季を語るうえで一番の大きかった出来事を問うと、明るい口調から一転した。
「振り返って、一番浮かんでくるのは病気のことです。今シーズンはほぼ全部、そこからのスタートだったし、今も続いているんで」
世間を賑わせた明るい話題とは裏腹に、昨年9月の世界選手権を終えてから西田は原因不明の体調不良に悩まされていた。
なぜ欠場? 想像以上に深刻だった病状
10月に開幕したVリーグで、2年ぶりにジェイテクトSTINGSに復帰。3戦目までは出場するも、10月30日から11月20日まで7試合を欠場し、ベンチも外れた。今季のジェイテクトは西田の復帰だけでなく、柳田将洋、関田誠大といった日本を代表する選手たちを獲得。大型補強は話題を集め、開幕前は優勝候補の大本命と挙げられたが、西田を欠いた7試合は2勝5敗と黒星が先行した。
ケガか、新型コロナウイルスの感染か。さまざまな憶測が飛び交う中、自身の置かれた状況を自らの口で初めて明かしたのは昨年12月18日。本格復帰を果たし、2年ぶりに頂点へ立った天皇杯決勝後に行われた記者会見で、西田が突如切り出した。
「3週間休ませてもらって、血液検査をしました。まだ原因はわからないのですが症状を見ると難病扱いになるものばかり。正直不安しかない状態でした」
自らの言葉で明かした、高熱が続き血液検査を繰り返すも、未だ原因が解明されていないこと。4度目の検査時には炎症反応が高く、一時は入院をも余儀なくされる事態であったという真実。あれから4カ月、西田の口から改めて聞く当時の病状は、想像以上に深刻だった。