涙の落選から1年…天才リベロ小川智大（29歳）が再び五輪を目指すと決めた日「1個ずつやっていこうと、やっと思えるようになった」

　7375名。千葉ポートアリーナを満員の観客が埋め尽くしたバレーボールネーションズリーグ（VNL）の最終日。男子日本代表は、ファイナルラウンド進出を懸けてアメリカ代表と対戦した。

　序盤からの拮抗した展開に歓声が上がる。コート内やベンチからの声もかき消されてもおかしくない状況で、ひときわ大きな声が響いた。

「スリー！」
「ブロック寄ってる、ミドル！」

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　相手のブロックは何人いるのか。攻撃時にはどこが空いているのか。リベロの小川智大が、短い言葉で的確に伝え続ける“声”だった。

いつもボールが飛ぶ先に小川がいる

　負けたらファイナルラウンド進出の可能性が絶たれる大一番。試合開始直後からアメリカ代表のオポジット、ガブリエル・ガルシアがブロックの横を狙う強烈なスパイクを浴びせるが、ストレートに放たれた一打をレシーブしたのも小川だった。

　いつもボールが飛ぶ先に小川がいる。あまりに何げなくやってのけるため普通のプレーに見えるが、その一本一本が高度なスキルがなければ成り立たないスーパープレーばかりで、試合の流れを大きく引き寄せている。それでも小川は、さも当たり前のようにプレーを振り返る。

VNLで存在感を発揮するリベロ小川智大　©︎Yuki Suenaga

「オポジットの力量に応じて（ポジショニングの）位置、コース幅は変えているつもりです。自分の中ではわりと全部拾えるという感覚なので、（味方の）ブロックにも『思いきり空けて』と。何より今回のVNLではそこまで強力なオポはいない。一緒に練習してきた（宮浦）健人とか、西田（有志）、西山（大翔）のほうがずっと上ですよ」

　若手主体のアメリカとはいえ、3ー0のストレート勝ち。日本代表はファイナルラウンド進出を決めた。

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