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「あの身長2m天才セッターとニコッ」石川祐希“待望CLデビュー”顔面直撃ハプニングも…常勝軍団ペルージャに馴染んだ3カ月
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byTakashi Yuge
posted2024/11/16 17:01
チャピオンズリーグデビューを飾った石川祐希(28歳)
ロレンツェッティ監督はクラブ悲願の欧州制覇に向け、開幕前の選手たちに「謙虚に、だが全力で大会の主役を張るのだ」と心構えを説いたという。
試合後の指揮官の言葉からも、タイトルへの長丁場を見据えた勝負師の凄みがのぞく。
「ホームでの初戦を3-0で勝てたことについては満足できる結果だと言える。ただし、内容は最高の出来だっただろうか。第1セット、第2セットともにもっと点差をリードできたはずだ。とはいえ今夜重要だったのは氷を壊したことだ(=初戦のプレッシャーをはね返した)。どのチームもそれぞれの国のリーグ優勝を勝ち取ったプライドをもって参加している。次のサン・ナゼールとの試合も厄介だ。幸いにもすぐ(16日)に国内リーグ戦がある。実戦のリズムを維持して今後の連戦に備えたい」
バレーに限らず、欧州のあらゆるスポーツクラブにとっての究極の目標とは、国内リーグで優勝し、大陸の覇者になること、つまりCL優勝に他ならない。
CLはバレーだけでなく各競技で広く親しまれ、関心を集めるフォーマットだ。最も有名で今季から規模を拡大させたサッカー界のUEFA(欧州サッカー連盟)チャンピオンズリーグの賞金総額は25億ユーロ(約4069億円)近くに上る。
島国日本にはつかみづらい感覚かもしれないが、地続きの国境が身近にある欧州各国の選手たちや指導者、クラブオーナーやファンにとって、“大陸を制する”征服欲や願望は相当に根強い。加えて、イタリアバレー界には昨季大会を制したトレンティーノを含め、国別最多20回の優勝を誇るイタリア勢こそがCL、ひいては欧州バレーの歴史を作ってきたという自負がある。
昨季、6年ぶりにスクデットを奪回した直後からペルージャのシルチ会長が「我々のトロフィーリストに唯一欠けるタイトルがCL。今季は何としてもCLを獲りにいく」と号令をかけているのはそのためだ。