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清原正吾に本音「野球をやめないでほしい」「プロで活躍できる」無念のドラフト指名漏れから9日後、慶大の監督が明かした“清原正吾の様子”
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/11/04 18:12
慶應大4年・清原正吾(写真は今年6月の取材時に撮影)
それでも指名する球団はなかった。
「自分のチームの選手だから、信頼しているし、今後の伸びしろもわかっているんですけど、(早稲田大の捕手)印出太一や(立正大の外野手)飯山志夢、高校生では(健大高崎の捕手)箱山遥人くんがドラフトから漏れてしまった。あれほどの選手たちが涙をのむんだから、やはりプロの世界は厳しく、ハードルは高い。正吾が試合に出場するようになって、まだ1年です。この1年の実績だけではプロの側も判断しきれなかったのかもしれません。ただ、僕の中では、2年後、3年後に、プロの世界で正吾が活躍する姿をおぼろげながら想像できています」
ドラフト後、堀井は正吾の父である清原とは話をしていない。正吾が父とどんな会話をしたかも聞いていない。
「あれだけ熱心に息子の試合を見に来られているお父さんですが、学生野球とプロの野球はまるで違うことを誰よりも理解されているはずです。僕が気安くお父さんの感情を想像で口にすることはできません」
「野球を続けてほしい」恩師の本音
堀井の葛藤——それはつまり、野球をやめることを決断した正吾に翻意を促したいものの、正吾の置かれた境遇や4年間の努力を鑑みれば野球から離れたいという気持ちも理解できてしまう、ということだ。だからこそ、ドラフト後、正吾とは周囲が想像するほどは言葉を交わせていない。
堀井はいう。
「彼の人生ですから、彼自身が決めるべき。こちらが(野球をやるように)追いかけると逃げていくと思うんでね。清原正吾という人間を応援してくれる野球ファンってたくさんいるんですよ。そういうファンのために監督としてできることは100%やりたい。もちろん、彼の人生だから野球をやることを強制はしないし、(決断を)尊重もするし、ここまで精一杯やったということも認めています。受け入れています。でもね、ここでもしチェンジマインドして野球を続けたら、また野球界に良い影響が生まれる。そこまでが僕の役目だと思っています」
清原正吾は将来についてどんな答えを出すのだろうか。すべては11月9日からの慶早戦が終わってから明らかになる。