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清原正吾に本音「野球をやめないでほしい」「プロで活躍できる」無念のドラフト指名漏れから9日後、慶大の監督が明かした“清原正吾の様子”
posted2024/11/04 18:12
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph by
Shigeki Yamamoto
ドラフト会議で無念の指名漏れを味わった清原正吾。その気になる進路について「正吾は野球をやめると思う」と記者に明かしたのは慶應大野球部監督、堀井哲也だ。清原正吾に向けた本音をノンフィクションライター・柳川悠二氏のインタビューで語った。〈全3回の3回目〉
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プロ志望届提出が遅れた理由
ドラフト会議から九日という時間が過ぎ、慶應義塾体育会野球部監督の堀井哲也は、清原正吾の進路に関してひとり葛藤を抱えていた。成長を誰より近くで見守ってきた指揮官として、正吾には野球を続けて欲しい。だが、彼が決断したことに反対したり、強引に野球の世界に居続ける道を勧めたりすることは、絶対にできない。
9月に入った頃、堀井は正吾に対して、「本当にドラフトで指名されたいのならば、リーグ戦が始まる前にプロ志望届を出しなさい」と伝えたという。
「不退転の覚悟で、自分はプロ野球選手になりたいという気持ちを前面に出す。それはつまり、スカウトに対してリーグ初戦の1打席目から視察して欲しいというアピールでもありますよね。僕は彼の背中を押したつもりだったんだけど、本人はそれをしぶったんです。『もうちょっと様子を見たい』と。彼の中で、秋のリーグ戦でもっと自信をつけられたらとか、恥ずかしくないタイミングで出したいとか、いろいろ理由はあったんだろうけど、僕には絶対にプロに行きたいという気持ちが足りないように感じられた。だからこそ、ドラフトが終わったあと、『もう一度、泥だらけになって野球を頑張りたい』という気持ちには行き着かなかったのかもしれないです」
プロ野球選手になる夢を恋愛になぞらえるならば、正吾はNPBの12球団にフラれた形だ。思い返せば、父もドラフトでは入団を希望していた巨人に指名を見送られ、巨人はPL学園の仲間であった桑田真澄を指名した。その禍根は40年近い時間が流れても消えていない。