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論点は“不起訴”ではなく…「伊東純也の代表復帰」なぜこのタイミングだった?「彼のために招集しなかった」森保監督の過去発言から読む判断基準
posted2024/09/01 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Etsuo Hara/Getty Images
最強の攻撃陣が、ようやく編成された。
9月上旬の北中米W杯アジア最終予選に臨むメンバーが発表され、伊東純也が1月のアジアカップ以来の復帰を果たしたのだ。同じくアジアカップ後はケガで招集外だった三笘薫も、メンバー入りを果たしている。両翼を担う彼らが戻ってきたことで、アタッカー陣は最強と言っていい顔ぶれが揃ったと言っていい。
「伊東純也の代表復帰」森保監督の判断基準とは
伊東は一部週刊誌による報道が理由で、アジアカップ期間中にチームを離れた。所属するスタッド・ランスでは高いパフォーマンスを示してきたが、森保一監督は慎重に推移を見守っていく。3月の活動では招集を見送った。
「日本で彼を取り巻く環境がどういうものになるかを想像したときに、彼が落ち着いて生活できる、落ち着いてプレーできる環境にはならないということを私自身が想像している」
6月の活動も、リストから外した。「代表でも確実に戦力になる」としつつも、「3月から状況は変わっていない。彼のために招集をしなかった」と説明している。
今回は何が変わったのか。伊東は1月に告訴されていたが、今月9日に嫌疑不十分で不起訴となった。これがひとつの区切りになったとの見方はあるが、日本サッカー協会の山本昌邦ナショナルチームダイレクターはこう話す。
「メンバーを決めるのは監督の専権事項ですので、監督が選ぶというところと、不起訴ということが理由ではありません。協会全体で様々な準備を進めてきて、我々に選ぶところのプレッシャーはありませんし、しっかりと今回環境が整ったというところです」
森保監督が判断基準としたのは、スタッド・ランスのジャパンツアーだった。7月下旬から8月上旬にかけてJリーグの4クラブと対戦したスタジアム内外の空気感が、「大きなポイントだった」と言う。
「多くのサポーターの皆さん、国民の皆さんが温かく彼を見守ってくれる環境があるということで、彼もチームも落ち着いて活動できるということで判断しました」
待ち望んだ招集だったのだろう。指揮官は穏やかな表情を浮かべてさらに続けた。
「これからまた、彼も日本代表のために思い切ってプレーしてくれると思います。引き続き温かく見守っていただければ幸いです」