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「大谷翔平より藤浪晋太郎が上だった」大阪桐蔭に“打ちのめされた”青森の名物監督が証言「選手の前で言っちゃった」高校生・大谷の本音評
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKYODO
posted2024/08/20 11:05
2012年甲子園、春夏連覇のエースで同年ドラフトで阪神から1位指名を受けた藤浪晋太郎
仲井 彼は早熟だったんです。小学生の頃にすでに170センチくらいあって、子どもの中に1人だけ大人が交じっているような感じだったらしいですよ。ただ、体の成長はとまりましたけど、センスはずば抜けていましたし、技術的な成長は止まらなかったんだと思います。
田村を発掘したエピソード
――田村と北條は大阪狭山ボーイズのチームメイトで、そのときに全国優勝を経験しているんですよね。大阪の選手というと、争奪戦がすごいというイメージがあります。彼らが入学してきたときに金沢さんから仲井さんに監督が替わったわけですけど、やはり金沢さんがスカウトしてきたのですか。
仲井 そうです、そうです。金沢監督の同級生がたまたま狭山ボーイズでコーチをやっていて。そこに別の選手を見に行ったときに「こんなにえぐい選手がおるんか」と。初めて声をかけたのが金沢監督だったということもあって、うちに来ることになったんです。だから、たまたまですよ。争奪戦になったら、うちには来てくれないです。
――全国各地に大阪出身の選手がいて、彼らの活躍でいろんなエリアから甲子園に出てくるチームがあるわけじゃないですか。大阪はよくそんなに選手がたくさんいますよね。
仲井 当時はまだいたんですよ。でも大阪桐蔭の西谷(浩一)さんも言っていましたけど、近年は大阪に昔ほどいい選手はいなくなってきているそうです。他のスポーツに流れているというのもありますし、そもそも子どもが減ったというのもあると思います。
プロ入り後の田村…恩師の評価
――高校時代の数々の田村伝説を聞いていると、プロで結果を出し切れていないのはなぜなんだろうという気がしてしまいます。中には、大谷を語るとき以上に興奮して語る選手もいましたから。「とにかくすごかった」と。
仲井 田村は田村でがんばっていると思うんですけど、限界なのかなという気はします。何ていうのかな、野球の技術は抜群なんだけど、大谷ほどは努力ができるタイプではないんですよ。もともとできちゃった選手って、そこからさらに努力できるかっていうとなかなか難しいところがあると思うんですよね。
――田村は高校時代、本当によくしゃべってくれるので記者からすると大助かりな選手だったんですよね。
仲井 あいつは回遊魚がとまったら死んでしまうのと一緒で、黙ったら死んじゃうんです。そういう生き物です。
〈つづく〉