野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「アメリカで通用する投手の条件は…」元巨人V9戦士・高田繁が語るMLBとの出会い「レベルが全然違う。大谷翔平なんて考えられない」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/10 06:00
引退後は日ハムで監督&GMも務めた高田繁氏(左)。巨人でチームメイトになった張本勲氏は浪商高校の5年上にあたる高校の先輩でもあった
――ちなみに現役時代にメジャーリーグでプレーすることを一瞬でも考えたことはあるんですか。
高田 冗談じゃないわ(笑)。あるわけないやろ。俺の中でメジャーリーグはやっぱりレベルが全然違う。アメリカにキャンプに行った時に、向こうの選手とオープン戦で一緒にやったけども、ローテに入るようなピッチャーの球は前に飛ばなかった。速くて重いんだよ。手元でグッとくるんだよ。この力が日本とは全然違う。バッターも俺が振ってもヘッドが落ちちゃうような1kgのバットを軽々と振ってバンバン打つ。日米野球で単独チームで対戦しても、全日本で戦っても俺は打てなかった。レベルの違いを痛感したよ。
――その時代を考えると、日本人選手がたくさん海を渡って活躍している現在は本当に隔世の感がありますね。
高田 いや、すごいよね。今はまたアメリカも日本も俺たちの頃とは野球が違うし、その後、メジャーは我々の頃よりもレベルが落ちたとも、逆に日本のレベルが上がったともいうかもしれないけどね。やっぱり身体能力含めすごいリーグだと思うよ。ただ、やっぱりイチローがとんでもない活躍をして、今は大谷翔平なんて考えられない結果を残しているでしょ。
大谷翔平は「考えらえないことをしている」
――メジャーリーグとの距離が近くなったというか、感覚がわからなくなりました。
高田 俺の中ではイチローは本当に特別や。でもそこに輪をかけて大谷翔平がね、考えられないことをしているやろ。ピッチャーとバッターをやっているということも考えられないけど、パワーの面でもメジャーリーグの外国人の中に入っても、日本人が何本の指に入るかというところにいる。ましてやホームラン王でしょ。俺なんて外野まで飛ばすのが精いっぱいだったのにね。もうまるでケタが違うよ。
――今永投手も5月までなら、最盛期のギブソンのシーズン防御率記録を上回る成績でしたからね。すごいことですよね。
高田 それはもう聞かんといてくれ。俺らにはもうわからんわ(うれしそうに笑)。