――怪童と呼ばれた尾崎行雄は、高田さんにとって浪商のひとつ上の先輩でもありますよね。

高田　いや、実は中学時代にも対戦があるんだよ。尾崎さんが泉大津市立誠風中学の3年生で俺は加賀谷中の2年生やった。練習試合をやってね。

――結果はいかがだったんですか？

高田　うーーん。覚えてない。ただボールだけは忘れようがないほどすごかった。あの当時から尾崎行雄は尾崎行雄だったよね。まぁ、翌年、尾崎さんは浪商に入っていきなり1年生でエースになって夏の甲子園に出場してるんだからね。とんでもないよ。

東映フライヤーズで活躍した尾崎行雄　©︎JIJI PRESS

大事なのは「バッターボックスの打者にどう見えるか」

――高田さんは、すでに中学2年生にして日本プロ野球史上最速とも言われる尾崎行雄のボールを打席で見ていたんですね。“ドラフトで指名する選手は必ず自分の目で見に行っていた”というのもやはり生で見ないとわからないことがある、と。

高田　映像で見るのと現場のネット裏から見るのとでは全くの別もんや。いまだに思い出すのはドジャースの山本由伸やな。彼が高校生の時、スカウトの稲嶺茂夫に「いいピッチャーがいますから！」って無理矢理宮崎へ連れていかれたのよ。

　これが、そこそこいいボールを投げとるし、面白い。けど4位だな、これは上位では取れないぞって話になったら、指名順が先のオリックスが4位で獲っていった。まぁ、でもこんなピッチャーになるとは思ってもみなかったけどな。

――目利きのスカウトでも伸びしろまでは測れないと言いますが、高田さんはピッチャーのどこを重点的に見るのですか？

高田　スピードガンや回転数などの数値は参考にはなるけれども絶対ではない。大事なことはバッターボックスに立った時に打者にどう見えて、どう感じるか。同じ150キロでも空振りを獲れることもあれば、簡単に打たれることもある。それはピッチャーの投げ方にもあるし、ホームベース板上に来た時のボールの力にも現れるんや。

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