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“左打者=バースの幻影”がいまだに? ここ20年の通算成績だと「外国人は右打ちに限る説」ラミレスにマートン、サンタナやヘルナンデスも
posted2024/07/09 11:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kazuhito Yamada
近年、プロ野球で外国人打者への期待値がどんどん下がっているのではないかと思われる。少し前なら外国人選手には中軸を任せ、打撃タイトルを期待したもの。だが、最近の外国人打者の中には守備力を買われたり、ユーティリティになったり、補助戦力的な選手も目立つ。
日米の格差が縮まったとみることもできるが、優秀な選手が日本にやってこなくなったともいえるかもしれない。
サンタナ、オースティン、カリステ、ヘルナンデスが好調
そんな中で今季、活躍している外国人選手がいる。ケガで戦線離脱していたり、シーズンが始まってから獲得されるなどで打席数が少ない選手もいるが、このような顔ぶれだ。RCは打撃の総合指標。
サンタナ(ヤ)260打82安11本42点1盗 率.315 RC50.94
オースティン(De)184打55安9本28点0盗 率.299 RC33.46
カリステ(中)206打62安6本23点2盗 率.301 RC26.15
ヘルナンデス(巨)126打43安6本20点0盗 率.341 RC23.83
4人ともセ・リーグ、パはオールスターに選出された日本ハムのアリエル・マルティネス(8本塁打 率.248、RC36.72)、ロッテのネフタリ・ソト(9本塁打46打点 率.258、RC33.45)がいる程度で、目立つ外国人選手は少ない。セの4人は守備に就きながらレベルの高い成績を残している。
ドミンゴ・サンタナは今季4年目。オスナとともに4番村上宗隆の前後を打ち、今季は首位打者をうかがう勢いだ。タイラー・オースティンは5年目。パフォーマンスの高さは証明済みだが、とにかく故障が多く規定打席には一度も達していない。今季も戦線離脱した時期があるが、今のところ中軸を打っている。
オルランド・カリステは2年目。どちらかというとユーティリティとしての使い勝手の良さで起用されてきたが、打撃でも結果を出して三塁、一塁、外野で起用されている。エリエ・ヘルナンデスは今年、5月になって巨人が獲得した外野手。レンジャーズで14試合に出ただけだが、高いミート力と長打でチームに貢献している。
これらの選手は、それぞれ異なるタイプだが――共通しているのは「右打者」だということだ。
実は筆者は、ずっと外国人打者は「右打ち」に限ると考えてきた。今回、各種成績を調べてみて、改めてそれを確信した。極端に言えば「左打者は最初から除外しても良い」かもしれない。
ここ20年の外国人打者の通算成績を見てみると
ここ20年(2004年~23年)、MLBなどアメリカ大陸から移籍した外国人選手の実績ランキング(5傑)はこのようになっている。カッコ内は在籍の西暦。04年以前から在籍した選手の、2003年以前の成績は含まない。