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慶大・清原正吾(21歳)の指名はある?…スカウトが語った“リアル評”「評価不能」「本気なら推したい」まさかの「アナウンサーか俳優に」の声も
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/10 06:00
春季6大学リーグでベストナインに選ばれた慶大4年の清原正吾。往年の名選手・和博さんを父に持つサラブレッドのドラフト指名はあるのだろうか
春シーズンの活躍で見えた「強さ」
そのスカウトは唯一、清原選手のプロ入りに前向きな方だった。
「ただ、彼の今までのバックグラウンドを考えてみると、いろいろあったお父さんですから。家族だって、そんなにいつもニコニコ過ごしてきたわけじゃないと思うんです。彼だって、長男として、子供なりに乗り越えてきたものが必ずあるはず。この春の清原選手の活躍ぶりを見てると、どこかに“強さ”みたいなものを感じるんです」
このあとの「洞察」が鋭いと思った。
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「よく見ると、バット半握りぐらい短く持って打ってるじゃないですか。あれがすごい。僕が彼の立場だったら、目一杯長く持って、ブンブン振り回して、『オレが清原の息子だぞ!』って、見栄を張りたくなると思うんですよ。でも彼には、そういう虚勢を張ったところがまるでない。
タイムリーを打つのが4番の仕事っていうところをちゃんとわきまえて、精度優先でスイングしている。そういうところ、清原選手、すごく強いと思います。根っこの弱い人間は、必ず虚勢を張りますから」
本人が本気なら、私は推したいですね。そんな締めくくり方をされた。
スカウトの方たちと話していて、よく耳にする話。大学生なら、最低2季1年間は、コンスタントな結果を出してもらえないと信頼できない。
その解答を清原選手が出してみせるのは、秋のリーグ戦、それも10月初旬までになろう。ドラフト会議は、リーグ戦終了を待たずに行われる。
野球の場数がまだ足りないと思ったら、社会人野球で2年、3年、さらに自分を鍛える……そんな選択肢もあるだろう。
この先、炎熱の夏、およそ3カ月。
人生を大きく左右する100日間になるのかもしれない。