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「菅野智之は大谷翔平の“ダミー”だった」との噂まで…2012年日ハム「大谷1位指名」のウラになぜ巨人のエース? いま振り返る“大谷ドラフト狂騒曲”
posted2024/03/13 06:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
WBCでの大活躍、ア・リーグ本塁打王&MVP獲得、ドジャース移籍、そして突然の結婚発表と、昨年3月のWBC以降、多くの話題を日本に届けた大谷翔平選手。振り返ってみれば、ここまでの道のりは浪乱万丈なものでした。
高校時代のMLB挑戦表明、そしてそこからのドラフト狂騒曲……3月20日に韓国でのドジャースデビュー戦を迎える“二刀流”の軌跡を振り返ります。<全2回の2回目/1回目「高校でのMLB挑戦」編を読む>
「2012ドラフト」は、花巻東高・大谷翔平と大阪桐蔭高・藤浪晋太郎、2人の「超大型本格派右腕の高校生をめぐるドラフト」……そういう表現で、ほとんど間違いのない状況だった。
12球団が共通して高く評価するほどの選手がすべてのポジションについて少なく、大谷、藤浪両投手以外に「1位確実」と見られていたのは、当時、亜細亜大の絶対的エース・東浜巨投手ぐらいなのが実情だった。
「異様な雰囲気」だった2012年のドラフト会場
2012年10月25日。
グランドプリンスホテル新高輪のドラフト会場は、異様な雰囲気に満ちていたのを思い出す。
焦点の1人「大谷翔平」はすでにメジャー挑戦を発表していて、そんな中でドラフト数日前、日本ハムだけが敢然と「大谷指名」を表明していた。
直前にそんなバタバタがあったせいもあり、また、当日になっても1位候補12名が絞れないほど人材の少ない状況に、いったい「最初の12人」に挙げられる選手は誰なのか? マスコミの控え室でも、多くのファンが詰めかけた会場でも、憶測と余談が飛び交う。
1位指名が始まって、セ・リーグ最下位だった横浜DeNAから、次々に選手の名前が呼び上げられる。果たして日本ハム以外に、大谷翔平を指名する球団はあるのか――?
6球団の指名が終わって、藤浪に3球団、東浜には1球団の指名があったが、「大谷翔平」は出てこない。
ソフトバンクと西武が残っている。来るとすれば、どちらかか?
だが、ソフトバンクは東浜。続く西武も同じく東浜を指名した。