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なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
“なでしこ”を背負った天才・岩渕真奈30歳で引退「ちょうどいい時代に生まれた」なぜスパッと決断できたのか…痛感した“時代の変化”
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byJFA/AFLO
posted2024/02/28 11:02
昨年9月、引退発表後に参加したJFAファミリーサッカーフェスティバルにて。岩渕真奈が積み上げてきた実績と影響力は後進の発展に大きく活かされる
メンバー発表後、気持ちは早くに固まった。
「メンバーから外れて1週間後ぐらいには、もう頑張らなくていいんだって思えちゃって、ある意味それは、なんか救われたというか。もちろんメンバーに入るのがベストだったかもしれないですけど、(現在の日本代表の)サッカーの相性もあったし、うまく割り切れたのはあります」
仲間たちのW杯での戦いに水をささないよう、発表は9月1日を待って行った。
苦悩と隣り合わせの1年間を経ての引退ではあったが、あらためて幸せなサッカー選手だったと振り返る。女子サッカーも男子と同様のトレンドが訪れており、「より強くより速く」が求められる時代になってきた。切れ味鋭いドリブルと、小柄ながら強烈なシュートが魅力だった岩渕は、そんな時代との相性の難しさも感じている。
「自分は別に走れるタイプでもないし、足がめっちゃ速いタイプでもないし、身体が強いタイプでもないんで、タフな世界になってきているのは、自分が得意とする環境ではないなっていうのは思います。だからちょうどいい時代に生まれたなとは思いますね。もしも、今自分がこのサイズ感で、18歳とかだったら難しいだろうなって、今のサッカーを見ていたら思うし、だからいろんな経験をさせてもらったし、何か幸せだったなっていうふうには思いますね」
そう現役時代を振り返る岩渕は、確実に前を向いて進んでいる。
◆後編では、最後に国内でプレーすることを選ばなかった理由、パリ五輪を目指す後輩たちへの思いを明かした。
(つづく)