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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
25歳堂安律はなぜ「先輩にかわいがられ、後輩に頼られる」? 敏腕スカウトが知る“ヤンチャ坊主”の素顔「カタールでの選曲係もソツなく…」
text by
二宮博Hiroshi Ninomiya
photograph byJFA/AFLO
posted2024/02/07 17:01
中学時代から飛び級で結果を出してきた堂安律(25歳)。愛嬌も兼ね備えた“親分肌”な気質はチームのパイプ役になっている
カタール大会後に大阪市内でリツの慰労会が開かれました。私も参加しましたが、アカデミー時代をリツと一緒に過ごした先輩や同学年の仲間、後輩たちが大勢集まりました。先輩にかわいがられ、同僚や後輩に頼りにされる。これが、リツの対応力・適応力・コミュニケーション能力+発信力=主張力をよく表しています。
ちなみに、その慰労会でリツは、
「二宮さん、いつも僕のことを良いように話してくれ、ありがとうございます」
と感謝の言葉をかけてくれました。どうやら両親を通じ、私が大学の講義や講演会などでリツの話題を取り上げていることを聞いていたようです。第1章で紹介したケイスケ(本田圭佑)やバン(播戸竜二)と同じように、リツも心配りのできる立派な大人になっていました。アカデミーに携わってきた甲斐があったというものです。
「打てば響くオープンな心」は堂安の武器
W杯カタール大会でもそうでしたが、リツは存在感のある選手です。途中出場であったとしても、ピッチに登場すると、スタジアムを包む雰囲気がガラッと変わります。もともと技術力の高い選手ですが、だんだんとプレーが力強くなりました。
起用されるポジションは指導者によって紆余曲折がありましたが、ボールをもったときのアイデアが豊富で、アカデミー時代から創造性あふれるプレーが得意でした。
ケイスケやダイチ(鎌田大地)はガンバ大阪のジュニアユースから高体連傘下の高校に進んで1年生から試合に出ることにより、自信をつけていきましたが、リツはガンバ大阪のジュニアユース、ユース時代の濃厚な人間関係を通じ、まるで高体連で育った選手のようなたくましさを身につけました。
そういう型に当てはまらないスケールの大きさは、リツの当意即妙な適応力や対応力、コミュニケーション能力によるものです。
「打てば響く」ような性格で、誰とでも打ち解けることができるオープンな心は、リツの大きな武器になっています。