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「シンジは優しすぎてNOと言えなかった」フェイエ小野伸二はなぜ“ビッグクラブ”に移籍しなかった?「休養すべきときも日本代表のために…」
text by
ミコス・ハウカMikos Gouka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/12/20 11:03
フェイエノールトで信頼を勝ち取った小野伸二(2002年11月、ロッテルダムで撮影)。周囲はさらなるステップアップを期待していた
2022年5月、フェイエノールトはUEFAヨーロッパカンファレンスリーグで準優勝した。ローマとの決勝を前に、小野にユニフォームを進呈している。この意図をクラブ社長のデニス・テクルーセが説明する。
「我々は今もシンジへの感謝の念を忘れません。その気持ちを伝えるため、昨季のカンファレンスリーグの準決勝を勝ち上がった後、ユニフォームを彼のもとへ届けました。シンジのような偉大なプレーヤーたちが何年もプレーしてくれたおかげで、現在のクラブがあります。彼らのおかげでクラブは成長し、ファンは今も楽しむことができるのです。シンジがまだ現役を続けているのはすごいこと。将来はクラブのアンバサダーなど、日本でフェイエノールトに貢献してくれたら嬉しく思います」
テクルーセの隣で話を聞きながら、現在フェイエノールトでコーチを務める、こちらもクラブのレジェンド、ジョン・デウォルフはこのように相槌を打った。
「フェイエノールトのOBはロッテルダムに来るとクラブハウスに顔を出してくれるんだ。先日、元コートジボワール代表でもある(ボナベントゥル・)カルーが来てくれた。日本からは遠いけど、もしシンジがロッテルダムを訪れることがあったら、ぜひクラブハウスに立ち寄ってほしいね」
小野が在籍した時代にコーチを務め、現在は解説者のマリオ・ベーンが小野伸二というサッカー選手の人間性について、簡潔にまとめてくれた。
「シンジは何でもできる素晴らしい選手。そして明るくて誰からも愛された。人々がシンジ・オノについて語る時、すべてがポジティブになる。クラブを離れても、オランダから離れてもこうして語り継がれる選手は、そうそういるもんじゃないよ」
(全2回・完)
初出:Sports Graphic Number1068号(2023年2月16日発売)『[オランダから愛をこめて]シンジとフェイエの蜜月』より《翻訳=中田徹》