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「シンジは優しすぎてNOと言えなかった」フェイエ小野伸二はなぜ“ビッグクラブ”に移籍しなかった?「休養すべきときも日本代表のために…」
text by
ミコス・ハウカMikos Gouka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/12/20 11:03
フェイエノールトで信頼を勝ち取った小野伸二(2002年11月、ロッテルダムで撮影)。周囲はさらなるステップアップを期待していた
フェイエノールトのレジェンドであり、オランダ代表では1974年W杯でヨハン・クライフとともに準優勝を経験したビレム・ファンハネヘムも、小野のプレーに魅了された一人だ。サッカー選手の移籍の巡り合わせについてこう語る。
「シンジのテクニックは素晴らしく、洞察力はまさに異次元だった。ロマーリオがPSVからバルセロナへ、(ロビン・)ファンペルシーがフェイエノールトからアーセナルへ、(ズラタン・)イブラヒモビッチがアヤックスからユベントスへ移籍したように、シンジもオランダからステップアップできたはず。この冬の移籍市場を見渡すと、オランダからではないが、30歳の(ボウト・)ベグホルストがベシクタシュからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した。これは普通ならありえないステップアップ。しかし、ユナイテッドの監督は同じオランダ人の(エリック・)テンハフだからね。時に移籍にはそういう運も必要なんだ」
小野をコーチに?「実は浦和から打診が」
2006年1月にオランダを離れた後、小野はドイツ、オーストラリアにも渡り、日本で26年目のシーズンを迎えようとしている。しかしファンマルバイクは、43歳の小野がまだ現役であることを知らなかったという。
「私は1年前に監督業から退いたが、それでも日本のクラブからオファーが届いたりした。実は浦和からも打診があったんだよ。もし私が浦和の監督に就くのであれば、シンジにアシスタントコーチをやってもらおうというプランを温めていたんだ。正式なオファーはなかったけどね。43歳になってもプレーを続けているなんて素晴らしい。シンジは本当にサッカーを愛している。そのシンジをファンと選手も愛している。間違いなくトッププレーヤーの一人だよ」