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三笘薫は「こだわりすぎて食堂の人も困ってた」? “破格オファーを蹴った男”小林悠36歳が明かす“あの代表選手たちのフロンターレ時代”
posted2023/12/08 11:02
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Shigeki Yamamoto
毎年のように主力が海外に…クラブが迎えた試練のとき
今シーズン、川崎フロンターレは8位でリーグ戦を終えた。
優勝はヴィッセル神戸。覇権を争っていた横浜F・マリノスは2位に終わり、川崎フロンターレとの2強時代に変化が訪れていることを感じさせるシーズンだった。
川崎フロンターレにしてみれば、中心選手が入れ替わる中で、常勝を維持するのが困難であることを痛感させられたとも言える。2020年にバンディエラである中村憲剛が引退し、近年は三笘薫、守田英正、田中碧、旗手怜央と主力が毎年のように海外に移籍している。
今季を迎えるにあたっては、前キャプテンの日本代表・谷口彰悟がカタールに移籍した。最終ラインの要が抜けた影響はどうだったのか。
小林は「それはピッチ内ですごく感じました」と話す。
「もちろん、ディフェンス面もそうですけど、後ろから声を出せてボールを繋げる彼の存在は大きかったですね。そこは、いなくなってからより感じました」
ピッチ外での影響力もあるリーダーだった。
「しっかりとやるべきことをやったうえで対話もできるし、リーダーシップもあったので……。いや、あんまり褒めるのは良くないですね。誰ともあまり仲良くないから、そこまで影響はなかったんじゃないですか(笑)」
最後は軽口を叩いておどけていたものの、その立ち振る舞いを含め、谷口がピッチ内外で模範的な存在だったのは確かだった。今年の夏には、帰国していた谷口が麻生グラウンドに顔を出したことがあった。キャプテンとして悩んでいた橘田健人は、谷口からアドバイスをもらい、それまでの霧が晴れたとも明かしていた。
リーグ初優勝&連覇時代のキャプテンである小林は、「ケント、俺には何も聞いてこないんですよ(笑)」と口を尖らせている。ただ試合前の声がけについては本人にアドバイスしたそうだ。
「ケントはまだ若いじゃないですか。キャプテンってチームに強く言えるのに、あいつは下から『頑張っていきましょう!』みたいに言うから、それじゃあ締まらないよって伝えました。みんな試合前に『勝負だぞ!』みたいに一斉に言ってるんだから、静かになった瞬間に強気に『行くぞ!』だけでいいよって。初めてそれをやったときに、オニさん(鬼木達監督)から『今日のは良かったぞ』って言われてました(笑)」