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三笘薫は「こだわりすぎて食堂の人も困ってた」? “破格オファーを蹴った男”小林悠36歳が明かす“あの代表選手たちのフロンターレ時代”
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/12/08 11:02
長く“川崎フロンターレ一筋”で活躍する小林悠。過去には複数クラブから破格のオファーを受けたこともあったが、残留という答えを選んだ
「こだわりすぎ」な三笘薫と「ずる賢かった」守田英正
先述したように、近年、クラブから欧州に旅立っていった顔ぶれには三笘薫、守田英正、田中碧、旗手怜央がいる。今や日本代表の主力を担う選手たちである。小林は後輩の躍進を、どんな思いで見守っているのだろうか。
「嬉しいですよ。やっぱり若い頃から知っているんでね。カオルとレオはすぐに海外に行っちゃいましたけど、やっぱり意識が高かったです。他の選手と比べても全然違っていました。特にカオルは、入ってきた時から海外に行くと決めていたんだと思います。英語の勉強もしていたし、食事のこだわりもちょっと違うなって。こだわりすぎてうるさいから、食堂の人たちも困ってたと思いますよ(笑)。でも、それぐらい自分を向上させるために必死になってやっているのも伝わりました。こういう選手が上に行くんだなって、それは見ていても思いましたね」
ピッチで共にプレーした中で、特に印象的だったのは守田だという。現在の日本代表では中盤に君臨しているが、入団当初はサイドバックもこなすユーティリティさが売りだった。試合中に気を利かせる賢さに、光るものを感じていたと話す。
「守田のずる賢い感じ、すごく好きだったんです。日本人っぽくないっていうか、よく南米でマリーシアって言いますけど、ああいう相手の嫌なことやってやろうとか、勝つために何をすべきかを常に考えている。『こいつはいいな』ってずっと思ってました。そういうタイトルの本も出してるけど、本当にあの通りです(笑)。右サイドで組んだ時もやりやすかったですね」
現在の日本代表で主力を担っているようなメンバーがいなくなったのだから、チーム力にも当然、影響はある。だが選手が入れ替わる中で、新しい芽も育ち始めてきた。キャプテンの橘田がたくましく成長を遂げたように、今季は3年連続でベストイレブンを受賞した脇坂泰斗を筆頭に、宮代大聖、山田新、高井幸大といったアカデミー出身の俊英たちが頭角を現したシーズンでもあった。
なお、宮代と山田は理想のFW像に小林の名前を挙げている。小林も同じFWである宮代と山田には期待を寄せている。
「タイセイは高卒から見てるけど、やっぱり持っているものはすごいと思います。いろんなチームに行って結果も残して帰ってきて、自信も持っている。自分と感覚が似てる部分が多いので、話す機会も多いですよ。向こうからの質問だけじゃなく、タイセイがいいプレーをしたときに『どうやってやったの? 教えてよ』と聞くこともありますね」