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「100円均一やめるぞ」に反対の声も…ローソンストア100社長(東大野球部出身)を悩ます“安売りを愛する日本人”問題「赤字続きで苦戦してきた」 

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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posted2023/11/26 17:27

「100円均一やめるぞ」に反対の声も…ローソンストア100社長(東大野球部出身)を悩ます“安売りを愛する日本人”問題「赤字続きで苦戦してきた」<Number Web> photograph by AFLO

ローソンストア100。東大野球部出身の佐藤隆史(1999年卒業・浦和・49歳)が代表取締役社長を務める

「大学を卒業してから、40年世話になった会社ですからね。40年って、結構長いですよ。そういうことをいろいろ考えると、三菱商事から『やってくれ』と言われたら、なかなか断れないですよ。サラリーマンって、そういうもんです」

 かくして榊田は2021年に千代田化工建設の取締役会長CEOとなり、2022年には会長兼社長に就任した。それまで、数々の要職に就いてきた榊田だが、現在はより一層大きな責任感とプレッシャーに包まれているという。

「もちろん会社を潰しちゃいけないし、社員を不幸にしてもいけない。だから、いかに人をモチベートさせて、働きがいがあるような職場にするか。そして、それを会社の業績アップにいかにつなげるかを考えています。世の中には何十年も社長をやる人がいますが、私はとてもじゃないけどもたない。それほどプレッシャーを感じますよ」

東大野球部と社長業の“意外な”共通点

 社長としての榊田の使命のひとつは、会社のマネジメントができる人材の育成である。プラント事業の知見を持ち、役員としてマネジメントに携わってきた榊田には、ぴったりの仕事だ。

「千代田化工建設は技術屋の会社ですから、プロジェクトマネージャーができる人はたくさんいます。しかし、会社をマネジメントできる人は非常に限られるので、そのような人を育てないといけないのです。したがって、ポジションを固定せずに、ぐるっと回すようにしています。この人は経営企画をやらせようとか、この人は財務をやらせようとか、この技術屋を今度営業に回そうとか。要は複数の部署を経験して、マネージメントを勉強してもらうというなこともやり始めています」

 榊田によると、社長業と東大野球部時代では、考え方に意外な共通点があるという。

「5年前に大きな損を出し、回復が道半ばの経営状態においては、安定性が大事です。プラント事業は金額だけ見れば巨額で、たとえばいまカタールで進めているLNGプロジェクトは、約2兆円規模です。しかし大きい仕事をしているから安泰ということはなくて、しっかりと利益が出る形で工事を終わらせられるかどうかは、また別の話。だから、ホームランを狙ってはダメなんです。失敗をできるだけ減らし、成功の確率を高くすることが社長の責務でしょうね。いわば、ポテンヒットでもいいから打率を上げ、大量点ではなく1点ずつしっかり稼いでいくことが現在は重要なのです。それは、私自身の東大時代のスタイルと類似しています。そして、大型のLNGプラントだけでなく、将来の水素社会に貢献できる会社に成長させたいと思っています」

 東大野球部時代には、野球から離れていた高校3年間のブランクをはねのけ、六大学の猛者たちを押しのけて打率ランキング3位に入った榊田だ。今後もどんなヒットを打っていくのか、注目である。

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