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「東大野球部エリートはサラリーマンになっても優秀か?」平均年収1500万円超、就職人気企業へ…東大野球部→三菱商事→ローソンストア100社長のスゴい人生
posted2023/11/26 17:26
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph by
Sankei Shimbun
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前編の記事では、三菱商事の常務まで昇った後、子会社の千代田化工建設(東証スタンダード/プラント建設大手)の社長に転じた榊田雅和(1981年卒業・横手高・65歳)の前半生を紹介した。
日本を牽引する重厚長大産業の分野で活躍した榊田からおよそ20年後輩の東大野球部OBに、ローソンストア100(三菱商事の子会社ローソンの100%子会社)社長・佐藤隆史(1999年卒業・浦和高・49歳)がいる。佐藤は三菱商事に入社後、情報産業グループやリテイル本部などを経て、わずか44歳でローソンストア100の代表取締役社長となった。
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まずは、東大時代の佐藤の様子から振り返ろう。佐藤が東大を目指したのは、多くの東大野球部OBと同じく、ズバリ野球のためだ。「尚文昌武」を掲げる伝統の男子校・県立浦和高校で、佐藤はみっちり野球に打ち込み、その情熱のまま赤門をくぐった。
「当時の浦和高校では、部活動に打ち込んで、大学進学については浪人はあたりまえだ、という雰囲気が私の周りにはありました。最近の浦高生は、文武両道で勉強もしっかりしているようなので、卒業生として恥ずかしい話ですが、私は高校時代は野球一辺倒の生活。個性的な先生が多く、先生の印象は強烈に記憶に残っていますが、肝心の授業の中身はほぼ記憶にありません。ところが、それほど打ち込んでいたにもかかわらず、最後の夏の大会は1勝もできず、その悔いもあって東大で野球をしようと考えました。現役で合格するのは無理でしたから、あり余った体力を勉強に回し、1浪の末なんとか合格することができました」
佐藤は入学後すぐに練習に参加。野球部の一員となった佐藤は、先輩のボール回しなどの動きを見て、「高校野球とはレベルが違うが、自分も訓練すればできるはずだ」と感じたという。