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「東京六大学で岡田彰布を超えた東大生がいた」東大野球部→三菱商事→上場企業社長のスゴい人生「あ、入る会社を間違えたな…」就職人気企業で感じた挫折

posted2023/11/26 17:25

 
「東京六大学で岡田彰布を超えた東大生がいた」東大野球部→三菱商事→上場企業社長のスゴい人生「あ、入る会社を間違えたな…」就職人気企業で感じた挫折<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

写真は今年の東大野球部。エースの松岡由機投手(4年)

text by

沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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photograph by

Sankei Shimbun

東京商工リサーチの調査(2023年3月)によると、上場企業の社長輩出ランキングでは、慶應大(288人)、早稲田大(227人)、東大(210人)の順となっている。慶應の一学年が6000人、早稲田が9000人に対して、3000人の東大は、比率で考えればやはり強い。大企業の社長になるなら、東大を出るのは近道なのだ。では、一般東大生とはまったく違う時間を過ごして社会に出た東大野球部のOBたちは、どんな社長になっているのだろうか。【全3回の前編/中編後編も公開中】

◆◆◆

 東大野球部出身の社長として最も世間に名が通っているのは、広告業界のガリバー・電通のトップを長らく務め、「電通の天皇」とまで呼ばれた成田豊(故人)だろう。

 Number Webでは、東大野球部員の過去30年ほどの就職実績を調査しているが、電通に入社した人数は、2位につけている。電通に進む東大野球部OBは多く、いずれまた社長の椅子に座る者が出てきても不思議はない。

 一方、電通をおさえて最多の東大野球部OBを迎えているのが、三菱商事だ。同社は社員数約5500名(単体)、商社として国内トップの地位を誇り、2023年3月期連結決算で純利益が初めて1兆円を超えたことも話題となった。いまのところこの巨大企業の社長までのぼりつめた東大野球部OBはいないが、代表取締役常務執行役員(役員としての序列は、会長、社長、4人の代表取締役常務執行役員)を経てグループ会社の社長に就いた人物がいる。

東大野球部→三菱商事→上場企業社長という人生

 三菱商事は、1000を超える子会社を抱えつつも、上場企業は十指に満たない。その一社である千代田化工建設(東証スタンダード/プラント建設大手)の代表取締役会長兼社長を務めているのが、榊田雅和(1981年卒業・横手高・65歳)である。※「榊」は、正しくは「木ネ申」。

 榊田は東大理科1類に現役合格して工学部を卒業し、三菱商事に入社。長年にわたって製鉄プラント事業を手掛け、インド三菱商事社長、三菱商事本体の常務を経て、現在に至る。

 1案件ごとに莫大な金額が動く世界で、ライバルと熾烈な受注競争を繰り広げて生きてきた榊田の出身地は、「大曲の花火」で知られる秋田県大仙市。幼い頃から野球少年だったが、横手高校では野球部に入っていない。

「秋田の田舎育ちですから、大学進学を機に首都や広い世界を見たいという気持ちが強く、そのためには、高校では受験勉強に専念しようと考えたんです。そのなかで高校3年生のときに、東大に入れそうだったので東大を受験しました。決して野球部に入りたいと思って東大に入学したわけではありませんが、東大が六大学野球の一員であることは知っていたので、機会があればやろうかな、くらいに考えていました」

「東大の選手が上手いとは感じなかった」

 榊田の気持ちに着火したのは、入学直後に観戦した東大と慶應による1977年春のリーグ戦だ。

「たまたま慶應との試合を観に行ったら、なんと2連勝して勝ち点を獲得。これはすごいと思いつつも、そんなに東大の選手が上手いとは感じなかった。『これなら、俺でもできる』と思って入部しました」

【次ページ】 打率ランキングで「あの岡田彰布を上回る」

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