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《岡田采配はなぜ当たる?》阪神・岡田彰布監督が「無死一、二塁のゲッツーはOK」と語る“納得のワケ”「2死三塁なら次の打者は…」
text by
掛布雅之Masayuki Kakefu
photograph byNanae Suzuki
posted2023/11/04 11:02
阪神・岡田彰布監督が「無死一、二塁のゲッツーはOK」と語る理由は…?
選手の能力や適性を見抜く力は当然、今も健在だ。
阪神は2023年8月13日、京セラドーム大阪で行われたヤクルト戦に5対3で勝利し、16年ぶりの10連勝を飾った。その立役者が、腰痛でベンチ入りを外れたノイジーの代わりに抜擢された小野寺暖だ。約1カ月ぶりの先発出場だった。
阪神は1点を追う3回、1死満塁で打席に出た小野寺が、ライトへ逆転の2点タイムリーを放った。先発起用は今季6度目で、代打や途中出場でのタイムリーヒットはあるが、先発でのタイムリーはプロ入り4年目にして初だった。
前日の12日は、昼間に二軍の試合に出場し、3打数3安打と好調だった。夜は一軍の試合が行われる京セラドームへと向かった。守備から途中出場し、打席で出番が回ってきたのは午後10時過ぎ。延長11回1死一塁の場面だった。岡田監督からのサインはバント。一軍での犠打成功の経験もなく、あっけなくスリーバント失敗に終わった。チームは今季12球団最長となる5時間16分の死闘を制し、ヤクルトにサヨナラ勝ちしたが、小野寺に笑顔はなかった。
13日の試合後、小野寺は「昨日のミスを取り返したい気持ちが大きかったです。チャンスで打つことができてよかったです」と答えた。リベンジの機会をくれた岡田監督の起用に結果で応えた形になった。
「岡田采配」が当たる理由は…?
岡田監督は、二軍で結果を残して昇格した小野寺について、「元々バットを振って、よさを生かしていくタイプ。(昨日の)バントの失敗はある程度、ベンチも本人も自覚している。あれだけアウトステップしているにもかかわらず、逆方向へしっかり強い打球を打った。4打席もらえたなかで勝負強さを発揮した」と評し、賛辞を送った。
この試合での小野寺の活躍は、岡田監督の采配が見事に的中したものといえるが、「シーズン中に監督の采配で勝てるのは3~4試合」と監督が前述しているように、日頃から選手をよく見て能力や適性、状態を常に把握しているからこそできる采配なのだろう。
<「岡田とオレ竜の共通点」編に続く>