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「“関西発”高校No.1サウスポーは阪神へ」「育成のオリックス真骨頂は“社会人の下位指名”」ドラフト全指名予想《ソフトバンク・阪神・オリックス編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/25 06:03
ドラフト目玉候補の前田悠伍投手(大阪桐蔭高・180cm77kg)
オリの大エース・山本由伸の後釜候補は”東都7人衆”から
【オリックス 2023年ひとりドラフト指名選手】
✕ 前田悠伍 18歳 投手 大阪桐蔭高 180cm77kg 左投左打(阪神との抽選に敗れる)
1位 西舘昂汰 22歳 投手 専修大 188cm92kg 右投右打
2位 福田幸之介 18歳 投手 履正社高 180cm77kg 左投左打
3位 武田陸玖 18歳 外野手 山形中央高 175cm77kg 左投左打
4位 久保田拓真 24歳 捕手 パナソニック 183cm98kg 右投右打
5位 粂直輝 24歳 投手 東芝 179cm75kg 右投右打
6位 藤井健平 26歳 外野手 NTT西日本 176cm76kg 左投左打
【オリックス 総評】
期せずして、阪神との「ドラフト日本シリーズ」に持ち込まれた前田悠伍(大阪桐蔭高)の1位指名重複。敗れたり……とはいえ、そこに現れた繰り上げ1位・西舘昂汰(専修大)は、偉大な大先輩・黒田博樹投手(広島→ドジャース他)にも負けない本格派の潜在能力の持ち主。東都大学野球2部リーグが長かった分、注目度は低かったが、立派に「東都7人衆」の一人に加われる逸材だ。
絶対的エース・菊地吏玖がロッテ1位指名でプロに進んでから、西舘投手の本気度がグッと上がったように見えていた。体格は7人衆でもNo.1、豪快に投げ下ろす140キロ台後半に、フォーク、ツーシームがいい。実戦の結果に波があるのは、マウンドキャリアを重ねれば解消できる。
山本由伸のメジャー移籍も遠くなさそうだ。空いてしまう大きな穴の、まず半分を埋められるように。何かきっかけを得れば、大黒柱にもなれる素材だ。
本当なら、この夏の「大阪」を沸かせた前田悠伍(大阪桐蔭高)と福田幸之介(履正社高)とのコンビで、宮城大弥投手との左腕投手陣を絶対的にものにしたい……そんな構想もあった。野望ついえた分は、田嶋大樹、曽谷龍平両左腕の奮起を待とう。
150キロ左腕と評されるが、本質は試合を作れる安定した投球の左腕。クロスファイアーの鋭さとそれを生かすスライダー、チェンジアップとの緩急。絶妙の制球力を、うってつけの先輩・宮城大弥投手から学びたい。
好打者のように思われているが、3位・武田陸玖(山形中央高)のバッティングは「吉田正尚(レッドソックス)」のイメージで考えている。
逆方向へのライナーが外野に飛んでいって、そこからまた伸びる。左中間の大きな飛球が捕球されるまでに6秒以上。ちなみに、二松学舎大附当時の鈴木誠也(現・カブス)の内野フライが6秒8だった。高校では二刀流でも、この先の将来性は「バットマン」と見る。外野手なら、アベレージ140キロ前後だった「肩」も生かせる。