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「“関西発”高校No.1サウスポーは阪神へ」「育成のオリックス真骨頂は“社会人の下位指名”」ドラフト全指名予想《ソフトバンク・阪神・オリックス編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/25 06:03
ドラフト目玉候補の前田悠伍投手(大阪桐蔭高・180cm77kg)
オリックスのドラフトの上手さは、社会人野球の実力者を下位で獲得して、ペナントレースの貴重なワンピースとして活用する。ここは外せない。
投手で阿部翔太(2020年6位)、小木田敦也(21年7位)、野手で西野真弘(内野手・14年7位)、山足達也(内野手・17年8位)、小田裕也(外野手・14年8位)……そうだ、「ラオウ」こと杉本裕太郎外野手だって、2015年の10位指名だった。
今年も、すぐに戦力になる実力者たちを3人指名できた。
「下位指名の社会人」育成はオリックスの真骨頂
ケガも多く、リード面で意外とスランプもある捕手陣に、4位・久保田拓真(パナソニック)が加入。今季は若月健矢捕手が大車輪の働きを見せ、ファームでは2年目の強肩・福永奨も頭角を現しているが、捕手は何人いても困らない。屈強な体躯でショートバウンドも巧みに吸収、強肩も使える。
今年41歳の鉄腕・比嘉幹貴を継いでいけるサイドハンド。ブルペンで投げる粂直輝投手(東芝)のリリースからは、パチッとボールを弾く音が聞こえてきそうだ。打者の手前でグンとねじ込んでくる速球のいやらしさ、スライダー、ツーシームの放射線状の球筋。凄さはなくても、手の焼ける存在になれる。
そして、「2023ひとりドラフト」の締めを飾る最後の一人は、ひとりドラフト3度目の指名になる藤井健平外野手(NTT西日本)だ。
実は、昨年のひとりドラフトでも、オリックスに5位指名を受けているが、「本番」での指名がなかったため、今年の候補に残っていた。これだけのスピードと身を挺した打球へのアプローチ、さらにはプロでもあまり見ないレベルの猛肩……これほどの守備・走塁の能力と意欲を持った外野手は、アマチュア球界に他には見つけられない。タイミングが合えば、ライナーでライトスタンドに叩き込む打の瞬発力。獲ってみればよい。やっぱり、獲っておいてよかった……と、大きくうなずけるはずだ。
<中日・日ハム・ヤクルト編/西武・巨人・楽天編/DeNA・ロッテ・広島編から続く>