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冨安健洋「自分の役目だと」超万能の成熟が24歳に見えない…「トミはまるで左ウイング」アーセナル智将絶賛、日本代表DFの要は魅力だらけ
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byNaoki Morita/AFLO
posted2023/10/18 17:20
冨安健洋は日本代表でセンターバック、アーセナルではサイドバックとしてワールドクラスの輝きを見せる
「でもラインコントロールとかは、自分の役目だと思っています。試合の流れを見て、行くべきところとそうでないところを前(の選手)に伝えて。フォワードからディフェンスまでの距離が遠くなってしまうと、やっぱり難しくなってしまうので。それが高い位置であれ、低い位置であれ、その距離を保ちコンパクトに守れていれば、なかなかやられることはない。だから後半の最後の方に、(上田)綺世にちょっと構えてと」
今の日本代表は、ピッチ上の選手たちが相手の出方を見ながら、試合の進め方を修正できるチームだ。そして冨安が所属するアーセナルのように、低い位置で相手を誘き出してから組み立てることも、敵の最終ラインの裏にスペースがあれば、一気にそこを突くこともできる。だからこの日のチュニジアのように、守備的な5バックで臨んできた相手にも、無闇に攻め続けるのではなく、時に構えて相手を吊り出したりもする。
感情を出しすぎるのはDFとして良くないことなので
そんなチーム全体について、冨安はこう語った。
「前半はなかなかチャンスがつくれなくて、点が取れないなって感じの時もありましたが、焦れずにやれたかなと。収穫のある試合だったと思います」
後半終盤には、町田浩樹が敵にラフプレーを受けたとき、冨安が審判に抗議していた。そんな珍しいシーンについて質問が及ぶと、彼は次のように答えた。
「ちょっとフラストレーションが溜まる審判だったし、言うべきところは言わないといけない。審判も人間なので、それが良い方向へ変わることもあるので。それは今までの日本のチームがやってこなかったことでもあると思うので、そこはやっていかないといけないと思います。僕だけでなく、言える人が言っていくべきことかなと。ただ感情を出しすぎるのは、ディフェンダーとして良くないことなので、そこはうまくコントロールしないと」
アーセナルでは“史上最強”マンC撃破の殊勲者に
冨安は今回の代表活動に合流する直前、プレミアリーグの大一番、ホームでのマンチェスター・シティ戦で後半途中から出場し、試合唯一の得点に繋がる殊勲の働きを披露した。