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パリ世代エース細谷真大と新戦力が光ったメキシコ戦4-1…バイエルン福井太智に快速ウイング、“持ってる”FW内野航太郎の魅力は何だ?
posted2023/10/16 11:17
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Yuki Matsuo
照り付ける日差しと硬く凹凸の目立つピッチ状態に苦しみ、ゲームに入り切れないチームを救ったのは、今季のJ1リーグで12得点をマークするエースだった。
前半14分、U-23メキシコ代表のセンターバックがビルドアップでもたついた瞬間、センターフォワードの細谷真大(柏レイソル)が力強くボールを奪い取る。斜め左に進路をとってボールを運ぶと、GKとの1対1を制して左足で確実にゴールネットを揺らした。
「メキシコが足下で繋いで剥がそうとしてくるのは分かっていました。少し余裕が見えて、自分が行ってもキープしてくるだろうなって思ったので、一発取りに行きました。チームがしんどいときに決められて良かった」
試合前日に「ゴール前で落ち着けるようになってきた」と細谷は語っていたが、まさにその言葉どおりのゴールだった。
メキシコは「ベストメンバー」ではないが
この先制点で硬さの取れたU-22日本代表の選手たちは、ゲームの主導権を奪い取る。
前半20分には山田楓喜(京都サンガF.C.)の右サイドからのクロスに再び細谷が頭で合わせて2−0。後半28分に失点したものの、後半36分にはバイエルンに所属する新戦力、19歳の福井太智のフリーキックにセンターバックの鈴木海音(ジュビロ磐田)が右足を合わせて突き放す。
その1分後、追加招集の内野航太郎(筑波大学)がダメ押しゴールを決めて4-1。アメリカ遠征初戦を白星で飾った。
10月半ばにチリのサンチアゴで開幕するパンアメリカン競技大会に出場するメキシコ代表は、日本より1歳上の23歳以下のチーム。ただし、「この年代のベストメンバーではないだろう」と反町康治技術委員長は推測する。
評価の難しい試合である一方で、光ったエースと新戦力
右サイドバックの内野貴史(デュッセルドルフ)や右インサイドハーフの山本理仁(シント・トロイデン)を起点にして、逆サイドの三戸舜介(アルビレックス新潟)や大畑歩夢(浦和レッズ)へと展開する攻撃は見どころのひとつだったが、「ボールを持ったときにもう少しスムーズにやってほしかった。このピッチ状態なので仕方がない部分もある」と大岩監督が振り返ったように、相手のレベルやピッチ状態を踏まえると、評価の難しいゲームだった。
とはいえ、見るべきものがなかったわけではない。