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「スーパースターではないが」30歳吉田正尚MLB1年目の評価は? ボストン番記者が語る“ヨシダの費用対効果”「打者としてまだ伸びる」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO
posted2023/10/12 11:04
WBCの激闘を終えて臨んだMLB1年目。リーグ首位打者に立った時期もあったが、後半戦はやや疲れが見えた
昨オフ、かつてレッドソックスでプレーしたアンドリュー・ベニンテンディは5年7500万ドルという吉田に近い契約でホワイトソックスに入団した。吉田とベニンテンディを比較したとき、外野守備ではベニンテンディの方が上だが、打撃では明らかに吉田が上回った(注・今季のベニンテンディは打率.262、5本塁打、OPS.682)。“吉田とベニンテンディのどちらをチームに欲しいか”と訊かれたら、多くの人が吉田と答えるのではないか。費用対効果という意味で、大事なのはそういった部分だ。
今季の結果を的中させた番記者の来季予想
最後に来季の予測を巡らせておくと、打者としての吉田にはまだ向上の余地が残っていると思える。今季中、特に左投手に対しては、思い通りの球が来なかったときは当てにいって逃げるようなスイングも目についた。それはまだ相手投手のことを探っている途中だからこそ起こったこと。これまで述べてきた通り、確かな打撃技術を持った吉田は今季でリーグを熟知し、より適切なアジャストメントを施せるようになるはずだ。
そんな背景から、吉田の2024年の数字は相対的に今季よりもアップし、打率.290〜.300、本塁打は20本ほどではないかな。OPSは.700台の後半から.800よりも少し上くらいだろう。こういった最終的な数字ももちろん大切だが、シーズン中のアップ&ダウンの激しさを緩和できればさらに印象はよくなると思う。
今後、レッドソックスが吉田をどのように起用していくかは興味深い。DHの機会が増えることも考えられるが、おそらく来季もレフトで使い続けると見る。いずれにせよ、主力としての貢献が期待されるはずだ。多くを学んだであろう1年目を経て、メジャーの水にも慣れた吉田がどんなプレーを見せてくれるか、2年目の活躍を私も興味深く見守っていきたいと思う。