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「スーパースターではないが」30歳吉田正尚MLB1年目の評価は? ボストン番記者が語る“ヨシダの費用対効果”「打者としてまだ伸びる」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO
posted2023/10/12 11:04
WBCの激闘を終えて臨んだMLB1年目。リーグ首位打者に立った時期もあったが、後半戦はやや疲れが見えた
もちろん今季、吉田が最高のシーズンを過ごしたというつもりはなく、まだ突っ込みどころは存在するのは事実ではある。マイナス材料があったとすれば、先ほども述べた通り、疲労した際には打撃の質ががくっと落ちたことだ。吉田は疲れを溜めると一塁側へのゴロが多くなり、下降線なのが明白だった。
多くの守備機会をこなしたことが大きかったのか、遠征の多さ、ボストンの気候の厳しさなどが影響したのか。メジャー1年目の他の日本人選手たちと比べても、終盤戦での吉田の消耗は明白に見えた。レッドソックスもあそこまで頻繁に休養を与えなければいけないとは思わなかったはずだ。
守備は「今後大きな問題になる可能性も」
また、これは開幕前から言われていたことだが、レフトの守備はやはりハイレベルとは言えなかった。守備範囲に飛んだ打球は安定した形で捕球するのだから、アレックス・コーラ監督が「十分だ」と評価するレベルではあった。ただ、レッドソックスは「十分」よりも上の守備力の選手を望んでいるというのが正直なところだろう。
今季はまだフェンウェイパークの独特の形状への戸惑いが見られ、名物グリーンモンスター(左翼の巨大フェンス)になじめば多少の上達は計算できる。ただ、吉田は身体能力の高いタイプではないだけに、守備面では今後、どれだけ向上できるかは私にはわからない。現在30歳の吉田が5年契約の終盤に差し掛かり、加齢した頃、守備の件はもう少し大きな問題になる可能性はあると思う。
それらの要素は一考に値する。ただ、繰り返しになるが、吉田が良いシーズンを過ごしたという私の考えに変わりはない。今シーズンを総括するとき、“吉田は5年9000万ドルの契約を得るにふさわしい選手だったのか”というところが焦点になる。その問いに対して、“イエス”と答えられるだけの結果は残したと思う。