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「スーパースターではないが」30歳吉田正尚MLB1年目の評価は? ボストン番記者が語る“ヨシダの費用対効果”「打者としてまだ伸びる」
posted2023/10/12 11:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
USA TODAY Sports/Reuters/AFLO
ボストン・レッドソックスの一員として2023年のシーズンを戦い終えた吉田正尚のメジャー1年目をどう評価すべきか。
最終成績は打率.289、15本塁打、72打点、OPS.783。7月下旬の時点で一時はア・リーグ首位打者争いのトップに立ち、最終的にも打率ではリーグ5位という立派な成績を残した。大谷翔平の陰に隠れた感もあるが、特に前半戦ではルーキーながらオールスターに選ばれても不思議ではないほどの活躍を見せてくれた。
ただ、今年はWBCから突っ走った疲れが出たのか、オールスター以降は62試合で打率.254、5本塁打と低調。そのように少々波が激しかった吉田のシーズンを総括すべく、ボストンの大御所記者、ロブ・ブラッドフォード氏に意見を求めた。
ブラッドフォード氏は番記者としてもう20年以上もレッドソックスを取材し、現在はWEEIラジオのレポーターを務める。開幕前に予想した打率.280、20本塁打、OPS.810という吉田の打撃成績は最終結果に近く、ベテランレポーターは見る目の確かさを証明したと言える。かつて松坂大輔をめぐる喧騒も体験した目利きの言葉には、常に一定以上の説得力がある。
以下、ブラッドフォード氏のひとり語り。
波はあったが“信頼性の高いバッター”
吉田は優れたルーキーシーズンを過ごしたと思う。好調な時期は素晴らしい打撃を継続し、首位打者争いをする位置にいたこともあった。逆に不調時にはかなり厳しいバッティングで一定期間、低迷していたという記憶も残っている。
そのようにアップダウンは激しかったとしても、総合的に見てやはりバッティングは上質だった。喧伝された通りにコンタクトがうまく、センターから反対方向にも良い打球が飛ばせる打者だった。1年目からメジャーで通用する打者であることを示してくれた吉田には、“信頼性の高いバッター”という形容が適しているのではないか。