ドイツ戦では中心選手が結果を残し、トルコ戦では中村敬斗や伊藤敦樹らがアピールに成功しました。第二次体制で招集されるようになった彼らは、チームコンセプトを体得中ですが、得点という爪痕は残しました。

　伊藤敦樹は185センチのサイズがあり、戦えて、運動量があり、三列目からの得点力もある。他のボランチの選手にはない武器があります。経験を積んでいけば、面白い存在になっていくかもしれません。

世界の「日本を見る眼」は変化している

　今回の2試合で自分らしさを発揮できた選手がいれば、悔しさを抱えた選手もいると思いますが、代表の活動とはそういうものです。僕自身、代表で継続的に使われたことがあれば、ベンチから出番を待って終わることもありました。選手の数だけ思いがありますが、それらすべてが日本代表というチームの力になっていきます。

　テストマッチには収穫しかない、というのが僕の考えです。得点が入っても入らなくても、勝っても負けても、誰が活躍してもしなくても、見るべきものがたくさんある。しかも今回はドイツとトルコに連勝です。森保監督は、たくさんの成果を持ち帰ったのではないでしょうか。

　今回の2試合を経て、世界の「日本を見る眼」も変わってくるでしょう。カタールW杯でのドイツ、スペイン連破は決してフロックじゃない、と。リバプールやラツィオへ移籍した選手がいて、プレミアリーグの月間ベストゴールを受賞した選手がいて、チャンピオンズリーグに出る選手がいる。ますます期待値が高まるなかでの2連勝ですから、世界からの眼を変えるには十分な結果でした。日本代表史上初めてW杯後に続投した森保監督のもとで、チームは順調に成長していると言えるでしょう。

　来たる10月シリーズ、そしてアジアカップはどうなるのか。とても楽しみです。

＜前編「中村憲剛のドイツ戦解説」から続く＞