長く見ているからこそなのかもしれませんが、ポジショニングやパスのタイミングなどのわずかなズレが、少し気になりました。ダブルボランチを組んだのが初スタメンの伊藤敦樹で、彼がグイグイと出ていくタイプだったので、バランスを取っているところはあったと思います。いつもと違う立ち回りで少しリズムが狂ったのか。キャプテンマークに気負ったのか。右膝のケガ明けでまだあまり試合に出ていなかったこともあるかもしれません。

　この2試合を見ると、所属クラブで試合に出ることの重要性を改めて痛感させられます。継続的な出場機会を得ることで、コンディションの向上にプラスして、クラブと代表の戦術がしっかり整理されていく。「ここではこれをやればいいんだ」と頭のなかがはっきりしている選手は、自信に満ち溢れています。

ドイツ戦でダメ押しの4点目を決め、トルコ戦ではキャプテンマークを巻いた田中碧　©Getty Images

見えてきた序列…1トップは上田綺世がリードか

　今回の2試合を受けて、多くのポジションで序列が定まっている印象を受けました。流動的なのはGK、1トップぐらいでしょうか。それ以外のポジションについては、ドイツ戦のメンバーでいいのでは、というぐらいの成熟度を感じさせます。

　GKは第二次体制でシュミット・ダニエル、中村航輔、大迫敬介が起用されてきました。来年1月のアジアカップへ向けて、正GKを誰にするかの競争は続いていきそうです。

　左サイドバックでは、伊藤洋輝が安定感を生み出しています。同サイドのMFが三笘薫や中村敬斗なので、オーバーラップはそれほど求められない。攻撃時は内側からサポートができて、中長距離のボールをしっかり蹴れることができる伊藤が現時点では左サイドバックの一番手でしょうか。彼は生粋のSBのスペシャリストではありませんが、高さもあるのでセットプレーでも重宝されると思います。

　1トップはドイツ戦に先発した上田綺世が、現時点でリードしているでしょうか。長身ではないもののスピードがある古橋、前田、浅野拓磨らに加えて、CBとフィジカルバトルのできる上田がいることで、攻撃の幅が広がります。カウンター以外の攻め筋を見出せる。

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