セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「カマダがラツィオで最も危険」ユーベ戦初アシストも“鎌田大地CL先発落ち危機”のナゼ「不振でピリピリ箝口令」「定位置争いライバルが…」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2023/09/19 17:26
ユベントス戦、ラツィオは敗れたものの鎌田大地はアシストをマークするなど奮闘した
昨季2位に躍進したチームのスタメンから変わったのは、事実上ミリンコビッチ・サビッチの後釜に入った鎌田だけ。もちろん前節ナポリ戦でセリエA初ゴールを決めた鎌田を評価するラツィアーレは多く、現在の成績低迷の責任は断じて鎌田一人にあるわけではないが、結果が出なければ変更した場所に修正を加えるべきだという外野からのプレッシャーは膨れ上がっている。
ライバルとして急浮上した3歳年下のフィジカル系MF
鎌田のポジション争いのライバルとして急浮上してきたのが、3歳年下の同じインサイドハーフであるMFマッテオ・ゲンドゥージだ。
8月31日にマルセイユから移籍してきたゲンドゥージは、ナポリ戦の後半に鎌田と交代出場する形でセリエA初出場。グラウンドに入ってわずか2分後にFWザッカーニへアシストを決め、その4分後には豪快な右足ゴールを叩き込む圧巻のパフォーマンスはいずれもVARによって取り消されたが、185cmの体格とドレッドヘアという風貌も相まって、ラツィアーレたちに特大のインパクトを残した。
鎌田が日本代表連戦でクラブを離れていた間、ゲンドゥージはフォルメッロ練習場でサッリ監督の指導を受けていた。ユベントス戦でも地元紙のスタメン予想に名を連ねていたのはゲンドゥージだった。
プレシーズンキャンプに合流できなかったため、鎌田のフィジカル・コンディションはまだ90分間走れる強度に達していないと見られている。一方で、ゲンドゥージはラツィオ入団前にすでにマルセイユで身体を作り上げていた。
ファーストチョイスはあくまで鎌田と推測する一方で
戦術家サッリにとって、理想のスタイル追究のためのファーストチョイスはあくまで鎌田だろう。それでもチームがシーズン最初の岐路に立つ今、指揮官もチームも最優先すべきはスタイルではなく白星だ。
ユーベ戦後の箝口令は、ファビアーニSD(スポーツ・ディレクター)のファインプレーだろう。遺恨あるユーベとの試合に誤審疑惑で敗れた悪舌家サッリは憤怒のあまり何を言い出すかわからず、こんな大事な時期に出場停止処分でも受けたら目も当てられないところだった。
選手たち自身もユーベ戦の勝敗を分けたのが誤審だけだとは思っていないはずだ。FWインモービレやDFカサーレといったEURO予選帰りのイタリア代表組がまったく動けず、守備への集中力が散漫だった点は速やかに改善されるべきだ。
欧州最高峰コンペティションのホーム開幕戦を白星で飾ることができれば、ラツィオは再び大きな自信を得ることができるだろう。今週末からのセリエAホーム2連戦でも軌道修正を図らねばならない。
勝ち星と先発の座。
ラツィオにとっても、鎌田にとっても正念場だ。