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久保建英「幻のマドリー戦ゴラッソ」に余裕の笑み→クロース置き去り、先制点演出…“魔法使いタケ”のステップアップをカメラマンは見た
posted2023/09/20 17:06
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
9月17日、ラ・リーガ5節レアル・マドリー対レアル・ソシエダ戦の撮影に向かった。
マドリーのホームスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウは独特のオーラを纏う。ピッチレベルから見るスタンドは垂直にそびえ立つようにすら見える。
ここでは、多くの勝利が積み重ねられてきた。その中にはミラクルと呼ばれるような逆転劇もあった。
何度と起こることがないからこそのミラクルが、ここでは何度も起こされてきた。勝利を信じて疑わない、そんなスタジアムを埋める人々の思いがこのオーラを作り上げる。白いユニホームを纏う選手へは後押しとなるオーラも――色付きのユニホームを着用するアウェイ選手にはプレッシャーとなってのし掛かる。
この日ピッチに最初に姿を現したマドリーのメンバーの中でも一際大きな声援を受けたのは、今季加入したベリンガムだった。
また、ソシエダに所属する久保建英がアップのためにピッチへ姿を表した時、目についたのは、いつも以上に引き締まった表情だった。
以前の保有元チームとの対戦でもあり、過度の気合でなければ……と心配したのも束の間――久保は、スタジアム上部をしばらく眺めるような仕草を見せた。そしてここ数年かけて行われていた改修工事がほぼ完成に近づき、上部に設置された開閉式屋根を眺めていた。
大きな気合いと共に、周りを気にする余裕も併せ持った適切な状態でピッチに足を踏み入れたことを感じさせた。
選手入場の直前、ピッチへつながるトンネル内部では、エスコートキッズ達とにこやかに接するマドリー選手の姿があったが、厳かなマドリーのイムノが流されると、選手達の表情も一気に引き締まり、両チームメンバーがピッチへ踏み出す。
強い意志を感じさせる久保の視線は鋭く、前を射抜くかのようだった。
久保vsベリンガムは、スペインでも注目の要素だった
この対戦で注目を集めたのが、久保とベリンガムによるゴールの頂上争いだった。
絶対的エースのベンゼマがいなくなり、ビニシウスも怪我で欠くマドリー。その中において、5ゴール1アシストで唯一開幕から連勝を続ける首位チームの原動力となっているのが、イングランド代表でもあるベリンガム20歳だ。
そして1勝3分けと勝ちきれない試合が続くソシエダの中で気を吐く久保22歳が、3ゴール1アシストで得点ランク2位につける。
このイングランドと日本の若手が、23-24シーズンのリーガ序盤の話題をさらっている。
久保の仕掛けが生んだソシエダの先制点
試合は開始早々の前半5分、アウェイチームのゴールで始まる。