セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「カマダがラツィオで最も危険」ユーベ戦初アシストも“鎌田大地CL先発落ち危機”のナゼ「不振でピリピリ箝口令」「定位置争いライバルが…」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2023/09/19 17:26
ユベントス戦、ラツィオは敗れたものの鎌田大地はアシストをマークするなど奮闘した
鎌田は57分にFWフェリペ・アンデルソンの低空高速クロスをゴール正面で合わせ損なうも、64分に敵陣で相手DFのパスミスに乗じてボールを競り勝ち、同僚MFルイス・アルベルトの反撃ゴールを呼び込んだ。鎌田がセリエA初アシストを記録した相手はユベントスだった。
ただし、すかさず相手の反撃の士気をへし折るのがユーベの十八番。わずか3分後にブラホビッチのゴールで再びスコアを2点差に広げると、そのままゲームを制圧した。混乱に満ちた1年を経て苦悩した分、ユベントスは勝負強さを取り戻し始めた感がある。
鎌田は交代枠最後の5人目として、78分にMFゲンドゥージと代わり、ベンチで試合終了の笛を聞いた。
3トップに左右の2列目からルイス・アルベルトと絡む、“鎌田ありき”の新しい戦い方はラツィオに浸透しつつある。だが、チームが新しいスタイルに自信を持つ上で必要なのは白星だ。それだけに結果が出ないもどかしさが口惜しい。
「サッリは鎌田を変えざるを得ないだろう」
開幕4戦で3敗、ラツィオの苦境は明らかだ。
19日のUEFAチャンピオンズリーグ開幕戦を前に、鎌田も正念場に立っている。先発落ちの危機なのだ。
「アトレチコ・マドリーとの初戦? 右インサイドハーフの先発はゲンドゥージだと思う」
「サッリ(監督)は鎌田を変えざるをえないだろう」
現地の2大スポーツ紙『コリエレ・デッロ・スポルト』と『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のラツィオ番記者たちは口を揃える。
微に入り細を穿つ戦術を徹底して覚え込ませるためにスタメンを固定する指揮官サッリはターンオーバー嫌いで知られ、新人やベンチ組を滅多なことでは信用しない。だから、加入後間もない8月20日の開幕レッチェ戦からずっと先発起用されてきた鎌田へかける期待は相当なものだと誰にも察しがついたし、親分は「時間を与えたい」と擁護してきた。
さすがのサッリ親分も“ワシ流”を押し通せない?
しかし、さすがのサッリもここまで黒星が先行すれば“ワシ流”を押し通すことは難しく、チームに何か手を加える必要がある。