「自分も人からいっぱい助けられてきた。昔から人のためにという思いがすごく強かったので、だからしんどい生徒であればあるほど、なんとかしてあげたい、きっかけを与えられないかなと思っています」

“回り道”の4年間で得たこと

　現在、アマチュア資格は数日間の講習で回復することができる。喜多は4年の年月を要した世代だ。ただ、あの4年があったから、ここまでくることができた。

「あの4年間がなかったら『俺はプロだぞ』とか『なんで俺の言うこと聞けへんのや』という感じで上から指導する部分もあったかもしれません。ずっと野球しかしてなかったし、社会を知るという機会があってよかった。今の制度がいいとか悪いとかじゃなくて、1回社会を知った上で野球の現場にいった方がいいような気はしています。プロ野球で何も活躍していないので、生意気ですけどね（笑）」

大阪の2強に立ち向かう

　東京六大学最高打率「.535」を記録してから22回目の秋を迎える。また大阪桐蔭や履正社と対峙する大阪の戦いが幕を開けた。

「その2強をずっと見続けますね。その前に負けたら2強に勝てるわけがないので。目標を低くした時点で成長も止まってしまう。夢をかなえようと努力することがすごく大事かなと思います」

　甲子園に出場し、プロ野球選手にも、高校野球の指導者にもなった。3つの夢はかなった。新たな4つ目の夢をかなえるために。喜多の飽くなき挑戦は続く。

＜「現役時代」編とあわせてお読みください＞

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長嶋茂雄でも岡田彰布でもない…東京六大学最高打率「.535」を叩き出した慶応大“伝説のバッター”は、なぜ26歳で球界を去ったのか？