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「記事に出されそう…」シャイな三笘薫26歳が“初めて”クリア夫人について語った日…約8分間のインタビューで三笘は4回も現地記者を笑わせた
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2023/05/23 20:25
サウサンプトンに勝利した試合後、クリア夫人とセレモニーに出席した三笘薫。前日、5月20日に26歳の誕生日を迎えた
いずれの場面も、三笘が相手のパスミスを見逃さなかったことで生まれた。本人は「“守備のスイッチ”のところを考えてました。相手のビルドアップが捕まえやすかったので、そこを狙ってました」とし、守備から攻撃に素早くつなげる意識が決定機を生んだと説明した。
しかし肝心のシュートが枠に入らない。「決定機を2本外した後、何を考えていたのか?」と聞いてみると、本人は「うーん……今日も入んないなって」と笑みを浮かべて心情を吐露し、記者たちをまた笑わせた。そして、次のように言葉を続けた。
「やるべきことをやるしかないと思ってました。(記者:気持ちを切り替えていた?) 毎試合、そういう風に気持ちを切り替えているんですけど、最後のシュートのところがやっぱり、 うーん…集中力の問題なのか、技術の問題なのかわからないですけど、そういうところはまだ足りていないと感じてます。
あそこは決めないといけない。引き分けか、負けにつながる可能性もあった中で、チームメイトに助けてもらいましたけど。ゴール前の質は、ずっと自分の課題です。今日は勝ったからよかったですけど、次は決めないといけない」
「あれはファウルでもおかしくないプレーでした」
三笘は序盤の好機逸をしきりに反省していたが、前半40分のアシストのシーンでは、走り込んだCFエバン・ファーガソンにピタリとクロスを合わせた。
この場面もやはり、守備から攻撃への素早い切り替えが起点になった。
日本代表MFが中盤でボールをカットすると、カバーに入った相手選手を強引に払いのけ、左サイドを疾走。右足のアウトサイドキックで回転をかけ、絶妙なラストパスをファーガソンに送った。三笘は振り返る。
「(左サイドを抜ける前に、追いかけてきた相手を倒したので)ファウルを取られてもおかしくないプレーでした。(前方に飛び出した後は)敵が2人ぐらい来ているのが分かった。前を見た瞬間、ファーガソンが見えたので、ここは自分で行くよりもパスの方がいいなと。ファーガソンが前方にいてくれたのが大きかったですね」
なによりこのアシストは、三笘にとって久しぶりの“結果”だった。
振り返れば、三笘は2月28日のFA杯5回戦・ストーク戦から7試合連続でゴール、もしくはアシストの結果を記録した。しかし、それ以降は沈黙──。ゴールチャンスを何度も何度も作ってはいたが、味方が決定機を外したり、自身のシュートも枠に飛ばなかったりと、結果がついてこなかった。このアシストで、実に約1カ月半ぶり、公式戦で9試合ぶりに得点に関与したことになる。
そこで聞いてみた。「ホッとした気持ちなのか、それとも、まだまだ足りないという気持ちなのか」と。三笘はこう答える。