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プロ野球PRESSBACK NUMBER
清田育宏がいま明かす“苦悩のロッテ時代“…好不調の波はナゼ?「ネガティブな考えばかり浮かんで…」「今もネットは見られない」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/24 11:06
ロッテ時代の清田
NPBに戻りたい気持ちは…
――思えば清田さんは、高校・大学・社会人・NPB、そして独立リーグとあらゆるレベルの野球を経験したことになりますね。
清田 そうなんです。だから、じゃないですけど、今の環境のほうが「普通」ということを知っているというか、不満とかはまったくないです。練習用ネットは選手たちが出す。打撃練習後はボールをみんなで拾う。テーピングもトレーナーの方でなく自分で。……そう考えると、いかにNPB時代の自分が恵まれていたかを痛感します。
――今はもう、華やかなNPBの世界に戻りたい、という気持ちはありませんか。
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清田 退団当初はありましたが、今はなくなりました。あのプレッシャーの中でプレーするのは自分には厳しいです。そもそも、11年間在籍したロッテで、1年間フルで出場したのは2015年だけ。1年間一軍にいた年も、その15年と井口(資仁)さんの監督2年目だった19年の2年間しかない。その意味では最後まで“レギュラー選手”になれなかった。
――とはいえフル出場した2015年は打率.317で15本塁打、ほかにも下剋上で日本一に輝いたプロ1年目など、ポストシーズンで無類の勝負強さを発揮していた印象があります。
清田 たしかに、1年目の日本一は僕のプロ野球人生でいちばん思い出深い瞬間でした。ただ11年間を振り返ると、総じて野球を楽しめていなかった。活躍できなかった試合後だけでなく、打席の中でさえ打てなかったらどうしよう、三振したらどうしようと、ネガティブな考えばかり浮かんでいた。調子がいいときも、それがいつまで続くのか不安になる。何か変えなければいずれ成績が下降すると思ってしまうんです。
たとえば2015年シーズン後のオフも、自分はもっと良くなるはずだと考えました。ホームラン25発くらいいけるだろうと。だから、いろんなことを変えた。打ち方もそうですし、バットや手袋の色も。そしたらまったく打てなくなって、全部元に戻しても結果が出ない。今考えれば、調子良かったときの状態をもっと研究して、「極力変えない」という選択もあった。そこに気づけなかったんですね。