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プロ野球PRESSBACK NUMBER
〈独占告白〉元ロッテ・清田育宏の今…2年ぶり“現役復帰“に語った率直な胸中「キャッチボール相手がいる。ありがたい」「おごりがあった」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byHaruka Sato
posted2023/05/24 11:01
清田は今、若い選手たちのなかで汗を流している
「僕の場合はどこかで驕りがあった」
――G.G.佐藤さん、角さんの他にも助けてくれた人たちがいたんですね。
清田 野球アカデミーの方もそうですし、野球用品のメーカー(Konies)とも契約させていただきました。声をかけていただいた人たちには本当に感謝してもしきれないです。
――G.G.佐藤さんが清田さんのことを「清田には野球に対する熱い気持ちがあったから、僕から(練習の誘いの)声を掛けた」と話していました。そして「人懐こくて誰からも好かれるタイプ」とも。
清田 僕はただただ幸運だったと思います。G.G.さんをはじめ多くの方々のおかげで、気づけたことが沢山あるので。
――というのは?
清田 プロ野球選手になると、私生活でちやほやされるんです。自分は大した選手じゃない、と言い聞かせていても、僕の場合はどこかで驕りがあったのだと思う。練習環境とかも含めて、特別扱いされることが普通になるというか。自分がいかに恵まれていたか、普通にNPB選手として引退していたら気づけなかったと思うんです。もちろんすべてのプロ野球選手がそうじゃなくて、僕が未熟だっただけなのですが。
それが今は、一見小さなことに対してもありがたく感じられるというか。自分がボールを投げて、それを捕ってくれる相手がいる状況が2年ぶりなので。キャッチボールする相手がいるだけでありがたいと思える。大学時代は面倒くさかったグラウンド整備も、自分で使ったんだから自分で綺麗にするのは当たり前と思えるようになった。もっと言うと、今のほうが純粋な気持ちでプレーできている気がします。「野球ってこんなに楽しかったんだな」って。
若い選手の中で白球を追う
――チームでは主に2番を任されています。久しぶりの実戦復帰でも体は問題なく動くものですか。
清田 いや、最初はまったく動かなかったですね。今でも、なぜ打てているのか自分でもよくわからない感じです(笑)。ただ、チームに自分がいる意味は成績だけじゃないと思っていて。独立リーグからNPBを目指す選手たちにとって、少しでもプラスになるような存在でありたい。打順も2番が多いので、いい状況でクリーンナップの若い選手たちにつなぐという思いで打席に入っています。いまは自分が打点を挙げるより、後輩たちが活躍してくれたほうが気分がいいんです、本当に。
〈つづく〉