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突然の辞任にロッテ選手たち号泣…前監督・井口資仁の“兄貴分だけどラインは引く”リーダー像「怒ったことない」「一緒に食事は行かない」 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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photograph byTatsuo Harada

posted2023/04/29 11:02

突然の辞任にロッテ選手たち号泣…前監督・井口資仁の“兄貴分だけどラインは引く”リーダー像「怒ったことない」「一緒に食事は行かない」<Number Web> photograph by Tatsuo Harada

昨季まで千葉ロッテマリーンズで5年間、指揮を執った井口資仁がNumber Webのインタビューに応じた。貫いた「リーダー像」とは

「ああ、全然。誰でも関係ないです。チームのためですから。イチローさんは一人の世界に入っている時があるので、狙えるなと思っていました。その後、だいぶ口をきいてくれなかったですけどね(笑)。僕がメジャーに行った後、一緒に食事をした時も隠し球について言われました。二遊間を守っていると、ランナーを後ろから見れるので、ボールから目を切る時の癖などを把握できるんですよ。話しかけてこっち向いた瞬間や石を拾ってるフリをして、バッと牽制に入る時もありましたね」

超一流選手は何が違うのか

 井口は30歳でアメリカに渡り、ホワイトソックスで世界一を経験。34歳の2009年、ロッテで日本に復帰して翌年には日本一の原動力となった。日々研究を重ね、42歳までプレーして日米通算2254安打を放った。

「ウチ(ロッテ)の選手には自分に満足せず、毎年キャリアハイを狙って、いろんなことにチャレンジしてほしい。挑戦する人って、大失敗しないんですよ。なぜかというと、毎年同じやり方だと引き出しが少ない分、失敗した時にカバーが全くできない。(ソフトバンクの)王会長でも毎年バッティングフォームを変えていた。周りからはわからないのですが、写真を見て『これは1970年の打ち方だ』『あれは1971年の構えだ』と言うんですよ。名球会の人に聞いても同じですね。去年良かったから一緒でいいやと思ったら、活躍し続けられない」

「井口の5年」がもたらしたもの

 井口の口ぶりからは選手へのやまない愛情が伝わってくる。まだ指揮を執りたかったのではないか。

「まあ、そうですね。若手は自分の子供のような年齢で本当にかわいいですし、起用してきた選手が成長し始めていましたからね。今年キャンプを観に行って、改めて選手一人ひとりに頑張ってほしいなと思いました。LINEしてきてくれる子もたくさんいますし(笑)。自分の中で描いていた2025年までは指揮を執れなかったですけど、選手たちはそこに向かって頑張っている。これからも、見守っていきたいですね」

 監督を辞しても、井口の眼差しは変わらない。突然の辞任発表をした日、監督室には24時を過ぎるまで入れ替わり立ち替わり、選手やスタッフが最後の挨拶に来た。その多くが涙を流していた。

 辛抱強く起用した若武者が成長してロッテが常勝チームになった時、“井口の5年”が脚光を浴びるに違いない。

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「プロ野球監督の1日ってどんな流れ?」前ロッテ監督・井口資仁が明かす“リアルな仕事内容”「9時半に家を出て…」「オーダーを考えて会議に」

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