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突然の辞任にロッテ選手たち号泣…前監督・井口資仁の“兄貴分だけどラインは引く”リーダー像「怒ったことない」「一緒に食事は行かない」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byTatsuo Harada
posted2023/04/29 11:02
昨季まで千葉ロッテマリーンズで5年間、指揮を執った井口資仁がNumber Webのインタビューに応じた。貫いた「リーダー像」とは
「他に候補がいなかったですし、僕は従来の4番のイメージにはあまりこだわっていませんでした。安田は選球眼の良い選手なので、打たなくても塁に出てくれればいい。前後を外国人で挟むと、彼のつなぎが生きてくる。すごく器用な選手で、YouTubeでいろんなバッティングフォームを見てシーズン中も試していた。去年の後半、フォームがしっかり固まってきて終盤には結果も出てきた。一歩ずつ成長していると思います」
「兄貴分」でも「ラインは引く」
引退してすぐ監督になった井口は選手の良き兄貴分でもあった。
「選手たちは1年目『監督』と呼べなくて、だいたい『井口さん』でしたね。2年目からみんな『監督』になりました。現役の時からLINEで繋がっていたので、何か連絡事項があるならマネージャー経由じゃなくていいと伝えていたんですよ。そしたら『結婚しました』とか『残留します』とか、いろんな報告がありました。『時計買いに行きたいので付き合ってください』という子もいましたよ(笑)」
選手とコミュニケーションを取りながらも、一定のラインは引いた。
「一緒に食事に行かないようにしました。周りが『あの選手は特別扱いされている』と感じますからね。唯一、涌井(秀章)の何かのお祝いでピッチャー陣から頼まれたので、『おまえたちで人を集めろ』と言って、ご馳走しただけですね」
「1対1」で指導しなかった理由
井口には「選手が上手くできないのはコーチの力不足。コーチの指導が行き渡らないのは監督の力不足」というポリシーがあった。そのため、コーチには厳しく接したが、選手は叱らなかった。